“電子書籍化不可”で18万部突破 著者に聞く制作秘話『世界でいちばん透きとおった物語』
■編集担当が明かす裏話「校閲にとってはやりがいのある本」
また苦労話の途中では杉井さんから「校閲の方が大変だったんじゃないですか?」と冗談交じりに一言。流れそのままにインタビューに同席した、新潮社の担当編集・小川さんも制作の裏話を明かしてくれました。 【担当編集・小川さん】 (担当校閲が)割と完璧主義の校閲者で「途中から楽しくなった」って言ってました(笑)。たぶん校閲の中でも、これはすごく大変な本にあたっちゃったと思うので、すみませんっていう気持ちもあったんですけど。校閲にとってはやりがいのある本だったと思います。
■杉井光にとって「第2のデビュー作」
5月に発売されてから、累計発行部数は18万部を突破している『世界でいちばん透きとおった物語』(出版社発表)。多くの読者に衝撃を与えた本作は、杉井さんにも心境の変化をもたらしたと話します。 ――この本は杉井さんにとってどんな本でしょうか 初めてミステリーだって胸を張っていえる本を書いた自覚はあります。それまではミステリー作家が積み上げてきた技術をちょっとお借りして、みたいなかんじだったんですけど。第2のデビュー作みたいな感じですね。 ――これから読む方々へメッセージをお願いします 読んでいただけるのが決まった時点で何もいうことはなくなるので、なるべく何も情報を入れずに読んでくださいとしか…言えないですね。
【杉井光プロフィル】 2005年、電撃小説大賞の銀賞を受賞し、翌年、電撃文庫『火目の巫女』でデビュー。その後、『神様のメモ帳』シリーズがコミカライズ、アニメ化し、ライト文芸レーベルや一般文芸誌で活躍。