ベースフード赤字決算、下方修正でもストップ高。通期予想は黒字を死守、意外な人物が大株主に
前下期はカビ騒動以降、商品の安全性の確保を優先し、商品のリニューアルや新商品の発売を控えた。その影響で主力の自社ECの定期購入者数は一時的に減少したものの、足元では回復している。 ■キャッシュは8月末時点で18.1億円へ増加 懸念されていたのは業績だけではない。とくに期初はキャッシュに対する懸念が生じていた。前2024年2月末時点のキャッシュは14.3億円で、2023年2月の22.9億円から8.6億円減少した。営業キャッシュフローも赤字が続いており、ただちに底を突くことはないが、対処が必要だった。
そこで今上期、ベースフードはメインバンクの三菱UFJ銀行から短期借入金4億円と長期借入金5億円を調達、キャッシュは第2四半期の8月末時点で18.1億円へと増加している。 短期借入金が9億円、1年以内に返済予定の長期借入金が1.6億円と計10.6億円を1年以内に返済する必要があるが、ひとまず足元のキャッシュへの懸念は拭われたといえそうだ。 橋本社長は「財務状況については心配をおかけしていた。長いスパンの計画も出した上で(銀行から)信用していただいて借入金を借りている。一過性のことで信頼が揺らぐことは少ないと考えている」と説明する。
関連して懸念が残るのは債務超過の可能性だ。第2四半期時点の純資産は3.9億円で自己資本比率は10%まで落ち込んだ。中間期決算は5億円の最終赤字で、現状のペースでは期末にも債務超過に転落するおそれがある。 この点について会社側は、第3四半期以降、営業黒字を積み上げて自己資本比率を引き上げる方針だ。今期は上場来初の黒字化を見込んでおり、下方修正後も黒字化の見通しは維持した。 これは広告費の削減余地があるからだ。ベースフードの需要期はダイエットへの関心が高まる夏前から夏場で同社の決算期の上期にあたる。
このタイミングで消費者にアプローチするため、第1四半期に10億円、第2四半期は8.5億円の広告宣伝費・販売促進費を使用した。この規模の会社としては大きな出費で、これが上期の営業赤字につながっている。 下期は広告費を大きく減らす算段だ。さらにパンの配合の改善や製造効率を底上げするなどで製造コストを下げる。人員の採用縮小や荷造運賃の低減にも努める。8月に商品の値上げも実施しており、通期の黒字化を死守する構えだ。