三菱UFJへの業務改善命令、金融庁が顧客軽視の姿勢を問題視…実効性ある防止策急務
■法令理解不十分
MUFGはFW規制が緩和された22年以降、社内で法令違反の有無を監視する取り組みを強めてきたという。情報管理研修を充実させ、AI(人工知能)を使って内部のメールのやり取りをチェックしてきた。そのさなかに今回の事態が起きたことで、対策の不十分さが浮き彫りになった。
またMUFGは銀行員が顧客の同意の下で案件情報を共有し、系列証券会社で成約した際の収益を行員の営業実績として反映させる仕組みも導入していた。グループの一体経営を進める狙いがあったが、法令への理解が不十分な一部行員が規定に違反する有価証券業務にまで踏み込んでしまう事態を招いた。
今後は不正を排除する仕組みづくりが焦点となる。MUFGや傘下3社は再発防止策と同時に、経営陣を含む責任の所在の明確化や経営陣の処分も検討する。
◆ファイアウォール(FW)規制=1993年、銀行と証券の相互参入解禁に伴い導入された。顧客の情報が特定の金融グループに集まる状態を防ぎ、公正な競争環境を維持する狙いがある。融資を通じて取引先企業に影響力を持つ銀行が強い立場を乱用しないようにするのも目的。