障害者支援2施設で利用者への虐待38件、職員配置要件満たさぬ福祉サービス費の不正請求も発覚 社会福祉法人に行政処分と返還命令 鹿児島市
鹿児島市は20日、同市郡山町の社会福祉法人「八重山会」が運営する指定障害者支援施設「ときわの家」と指定生活介護「第二ときわの家」で、利用者の行動を強引に制止するなど計38件の虐待や障害福祉サービス費の不正請求があったとして、新規利用者の受け入れ停止などの行政処分をしたと発表した。不正請求額に4割を加算した4474万5764円の返還命令も出した。処分は19日付。 【写真】虐待などが認定された指定生活介護「第二ときわの家」=20日、鹿児島市郡山町
市障害福祉課などによると、2施設は主に重度の知的障害者が利用する入所、通所施設。計20人が虐待を受け、うち1人は擦り傷を負った。手をたたくなどの身体的虐待13件のほか、心理的虐待22件、わいせつな声かけや体をさわるなどの性的虐待7件、放棄・放置1件が確認された(1件で複数該当あり)。職員18人が関与した。 不正請求は人員や常勤看護職員、福祉専門員の配置が加算要件を満たしていないにもかかわらず請求し受領。特に「第二ときわの家」では、2015年4月から24年1月まで長期間にわたり不正請求していた。 23年11月の市の定期指導監査で虐待疑いが発覚。その後の施設から市への報告の中で、職員から聴き取った内容を改ざんしたほか、同年12月の市の調査では組織的に口止めを指示。不正が疑われるケースに実施する24年2月の特別監査でも、口止めなどはないと虚偽答弁した。「第二ときわの家」の所属と報告した職員を「ときわの家」で勤務させていた虚偽報告や虐待の通報義務違反もあった。
市は虐待や不正請求など5項目を理由に、9月からの両施設の新規利用者受け入れ停止1年、市からの報酬支払額7割への制限6カ月とする行政処分を行った。不正請求で受領した障害福祉サービス費は、3196万1260円だった。法人側は「不正請求になると気付いていた。弁解の余地はない。8月20日付で全額返還した」と説明した。 南日本新聞の取材に対し、八重山会理事長は「虐待を受けた利用者の家族に説明と謝罪をした。今後、職員研修を実施し、利用者の安心安全を守れる施設になるよう努める」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島