「技能実習生」の通訳をめぐる労働訴訟の最高裁弁論が開かれる 弁護士は「事業場外みなし労働制」の基準が変わる可能性を危惧
判例が変わる可能性も
事業場外みなし労働制については、2014年に「阪急トラベルサポート事件最高裁判決」が出されている。 阪急トラベルサポート事件では、ツアーコンダクターの業務は「労働時間の算定が困難であること」にあたらないとして、事業場外労働のみなし労働時間制の適用が否定され、企業側には未払い残業代の支払いが命じられた。 この判決は、その後10年間、事業場外みなし労働制の適用の可否を判断する基準となってきた。 今回の訴訟でも、女性側は他企業を訪問しての通訳業務とツアーコンダクター業務との類似性を指摘しながら、事業場外みなし労働制の適用を否定している。 しかし、最高裁は、企業側の主張を棄却せずに弁論を開かせた。弁論後に会見を開いた、女性側の代理人である松野信夫弁護士は「事業場外みなし労働制の判断基準を変える、新たな判例になる可能性がある」と指摘。労働者ではなく企業にとって有利な基準に変えられることを危惧した。 女性は熊本市に在住しているため、都内で行われた会見には不参加。熊本市内の団体「コムスタカ-外国人と共に生きる会」の中島眞一郎代表が参加して「人権侵害は外国人技能実習生だけでなく、彼らをサポートする人たちにも起こっている」と訴えた。 最高裁判決は4月16日(火)の予定。
弁護士JP編集部