イスラエルの対イラン空爆、旧核兵器実験棟など標的=米研究者
Jonathan Landay [ワシントン 26日 ロイター] - 米研究者はイスラエルが26日実施したイランへの空爆について、過去にイランの核兵器開発計画の一部だった建物が攻撃を受けたとの分析を明らかにした。ミサイル用固体燃料を混合する施設も攻撃されたという。 米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)の所長で元国連核兵器査察官のデービッド・オルブライト氏は衛星画像を基に、テヘラン近郊のパルチン軍事施設内の建物が攻撃を受けたと指摘した。 イランが過去に進めた核兵器開発プログラム「アマド計画」で実験棟に使用していた「タレガン2」と呼ばれる建物を攻撃したことが分かったという。 国際原子力機関(IAEA)や米情報機関によると、イランは2003年にアマド計画を中止した。イランは核兵器開発を否定している。 オルブライト氏は著書執筆の目的で、イスラエルの情報機関モサドが2018年に入手した同計画の資料閲覧が認められた。 同氏はイランが重要な実験装置をタレガン2に保管していたことが資料から判明したとし、空爆前に重要資材を移動した可能性もあるが、内部に装置が全く残っていなかったとしても、この建物は将来の核兵器関連活動に「本質的価値」を提供しただろうと述べた。 同氏によると、タレガン2から約300メートル離れた建物3棟が被害を受けたことも画像から分かった。うち2棟では弾道ミサイル用固体燃料の混合が行われていたという。 米シンクタンクCNAのアナリスト、デッカー・エベレス氏も衛星会社プラネット・ラボが提供したパルチンの画像を基に、イスラエルが弾道ミサイル用固体燃料を混合する建物3棟と倉庫1棟を破壊したと分析した。 また、広大なミサイル生産施設があるテヘラン近郊のホジルも攻撃したと述べた。弾道ミサイル用固体燃料の混合が行われていた建物2棟が破壊されたという。 同氏はこうした混合装置について、製造が難しく、輸出規制されており、イランは何年にもわたり多額の費用をかけて輸入してきたことから、置き換えるのは難しい可能性が高いと指摘。 イスラエルの攻撃は限定的だったが、イランのミサイル大量生産能力に著しい打撃を与えた可能性があり、イランが将来的にイスラエルのミサイル防衛を突破する攻撃を仕掛けるのはより困難になったとの見方を示した。