ニセコはアフターコロナを《予見》していた!…コロナで高まった国内旅行需要、生き残れる観光地はどこだ!?
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第54回 『観光客は「富裕層」か「それ以外」か...《失敗を恐れる》日本の観光ビジネスは「海外富裕層ファースト」のニセコに学べ』より続く
日本国内における旅行消費額
インバウンド消費がほぼゼロで、しばらく大きな回復が見込めないのであれば、国内の観光地・リゾートは、日本人による国内旅行需要に期待することになる。 2019年の日本国内における旅行消費額は27・9兆円に達するが、実はそのうち、日本人による国内宿泊旅行と国内日帰り旅行は22兆円と全体の8割近くを占めている。一方、インバウンド(訪日外国人旅行)は、過去10年間で大きく上昇してきたものの、同消費額は4・8兆円と全体の17・2%を占めるにすぎない。 日本政府が掲げる「2020年の訪日外国人4000万人」の目標は絶望的であるが、政府は「2030年に6000万人」とする目標を維持するとともに、旅行消費額の目標として「2030年の訪日外国人の旅行消費額15兆円」を目指すとしている。オーバーツーリズム防止の観点からも、コロナ禍が収まり渡航解除がされた後は、訪日外国人の数を追うのではなく、旅行消費額の達成を目指すべきだ。売上より利益ということだ。 つまり今後は、富裕層の日本人観光客の国内旅行需要を取り込みつつ、旅行消費額単価の高い豪州、米国、欧州や華僑など富裕層が満足するような観光地やリゾート地でのサービスを、より充実させるべきということになる。まさにニセコが先駆けて今までやってきたことである。