NYT記者が分析する、AIが抱える最大のリスク 「まだ暴走列車ではない」AIの現在地と課題
そこでマイクロソフトが打ち出したのは、「クラウドへの移行」という別の方法です。これにより、マイクロソフトは売上を伸ばしたのです。つまり、ここで行われたのは、規制を求めるということではなく、「技術力による対抗」でした。 また、データの集中などの問題は、当然ながら、今後も取り組んでいくべきものです。たとえば、米グーグルも「反トラスト法」(独占禁止法)違反で提訴されました。 では、「生成AIの時代には、もっと大きな問題が起きるのか?」という疑問もあるかもしれません。マイクロソフトやグーグルといった大手IT企業が争っているので心配はいらない、と言ったところで、あまり慰めにはならないでしょう。
正確に言うと、現状は鉄道時代と似ています。つまり、独占と言うより「寡占」なのです。大手IT企業数社はお互いに対抗する力を持っている。そこにはいくらかの真実もありますが、この分野における市場集中を懸念する人たちにとって、こんなことを言ったところで慰めにはならないでしょう。
スティーブ・ロー :ニューヨーク・タイムズ記者