「能登は元気」ワインで発信 穴水でブドウ収穫開始、仕上がり上々
能登ワイン(穴水町旭ケ丘)は9日、醸造所前の畑でワイン用ブドウの収穫を開始し、今季の醸造作業を本格的に始めた。能登半島地震で醸造所や店舗、畑などに被害が出たが、例年並みの120トンの収穫を見込み、720ミリリットルのボトル約12万本分のワインを仕込む。村山隆社長は「震災に負けずおいしいワインを届け、能登は元気だとアピールしたい」と意気込んだ。 この日は、11月16日に発売予定の「能登ワインヌーボー」の原料となる白ブドウ「シャルドネ」を摘み取った。木にはたくさんの黄緑色の実を付けた房が下がり、社員は品質を確かめながら収穫した。ブドウはすぐに破砕機に掛けられ、搾った果汁で仕込み作業が進められた。 同社によると、地震で断水し、ステンレス製タンクに貯蔵していた果汁1万リットルと熟成だる2つ分のワイン約440リットルが失われた。店舗の天井や照明が落下し、ボイラーなどにも被害が出た。従業員の中には自宅が全壊し、仮設住宅から通勤する人がいる。土砂崩れで畑の一部が被害を受けた契約農家もあった。 例年、1月中旬に始まる冬の醸造開始は3月中旬までずれ込み、店舗は4月30日まで営業できなかった。今季のブドウは日照時間が長く順調に育ち、甘さと酸味の調和がとれた味に仕上がったという。収穫は10月末まで続く予定で、村山社長は「無事にワイン造りが始まってほっとしている。一歩一歩前に進んでいきたい」と話した。