年俸ほぼ“半減”で「覚悟を持ってやらなきゃ」 参加者が苦戦…終わらせる恒例行事
減額制限を超える5500万円減の年俸6500万円でサインした
26年ぶりの日本シリーズ制覇を果たしたDeNAだが、三浦大輔監督の現役時代から後輩たちに受け継がれてきた毎年恒例の自主トレに、終止符が打たれることになった。“主要メンバー”である三嶋一輝投手が6日、球団事務所で5500万円減の年俸6500万円で契約を更改。今季年俸1億2000万円から減額制限(年俸1億円以上は40%まで)を超える約46%ダウンとなった(金額は推定)。 【写真】モデルの美人妻と仲良し2ショット…タイトル獲得も非情の通告を受けた右腕 「(厚木での合同自主トレは)来年はもうやらないです。みんな1人でもできると思うし、ちょうどいいタイミングなのかなと思います」と三嶋が明かした。 神奈川・厚木市で自主トレを行うようになったのは三浦監督が現役時代の2010年頃だった。毎日練習メニューの最初に白山(標高284メートル)の険しい山道を駆け上り、山頂展望台と麓を往復するハードな内容。これにまず、2012年ドラフト2位で法大から入団した三嶋が加わった。その後もメンバーは増え続け、三浦監督が2016年限りで現役を引退した後も、後輩選手によって毎年受け継がれてきた。今年1月は三嶋、山崎康晃投手、石田健大投手、伊勢大夢投手、入江大生投手、今季限りでDeNAを戦力外となり巨人入りが決まった石川達也投手が参加していた。 三嶋は2022年に国指定の難病「胸椎黄色靭帯骨化症」を発症して手術を受けたが、昨年1軍復帰を果たした。しかし今季は2軍暮らしが長く、1軍では7試合1勝1敗、防御率5.14に終わった。プロ13年目・35歳となる来季へ向けて、「僕にとって本当に、すごく覚悟を持ってやらなきゃいけないシーズン」と強い決意をうかがわせる。自主トレについても「1人でやろうかなと思っています。厚木で(三浦)監督さんと一緒に始めてから、約12年間やらせてもらいましたが、1人でもう1回、結果を出すために覚悟を持ってやらなければ、という思いはあります」と説明した。
参加メンバーの山崎、石田、伊勢、入江、石川にとっても不本意なシーズン
三嶋が山崎、石田に相談すると、2人も「そうですね。そろそろもう、みんな1人でできるだろうし、いいんじゃないですか」と賛同。三浦監督にも話を通したという。 「正直言って、みんな今年はたぶん、いいシーズンを送れなかった。いいきっかけかなと思います」と三嶋が指摘する通り、チームは“下剋上日本一”を達成したが、現行参加メンバーは個人的にはそろって故障や不振で不本意なシーズンとなってしまった実情もある。今オフはそれぞれが1人で自分自身と向き合い、巻き返しへ向けて自分を追い込む決意なのだろう。 日本シリーズは制したが、リーグ優勝のブランクは26年に伸びた。念願を果たすためにも、“チーム厚木”はいったん解散し、個々に爪を研ぐ道を選んだようだ。この自主トレに過去何度か同行取材させてもらい、年齢を重ねるごとに息が切れ、山頂が遠のく思いだった記者としては、寂しいような、はたまた“命拾い”をしたような……。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki