【里崎智也】ソフトバンクのスイープは見事、本物の強さ 新庄監督「次の一手は何ですか？」
＜パ・CSファイナルステージ：ソフトバンク3－2日本ハム＞◇第3戦◇18日◇みずほペイペイドーム 【動画】小久保裕紀監督も満面の笑み ソフトバンク４年ぶり日本シリーズ出場決定 ソフトバンクのスイープは見事だった。死角が見当たらない。日本シリーズでも、DeNAもしくは巨人を圧倒してしまうのではないか、そう思えてしまうほどのオフェンス力、ディフェンス力だった。 日本ハムの敗因を探る時、私は初回の山川、近藤に対するバッテリーの攻め方が気になった。山川にはフルカウントからゾーンで勝負して右中間への適時二塁打。ここは後ろに近藤が控えるため四球は考えられない。フルカウントにしてしまったところで、勝負あった。 続く近藤には初球が逆球シュートでストライク。続けて2球目も変化球をゾーンに投げた。チェンジアップが甘くなり手痛い2点目を失った。ここは四球もやむなしの状況で、それを山崎－伏見のバッテリーが理解していれば、2球続けて変化球をゾーンに投げることはなかったと感じる。 気が付けば、勝因よりも日本ハムの敗因を探ってしまうところに、いかにソフトバンクの力が抜けていたかということだ。普通にやれば圧倒すると感じていたが、まさにその通りの結果を出す。本物の強さということだ。 では、日本ハムはなすすべもなく敗れたのかと言えば、私は負けたが、見ていた者としては、気持ち良かったという感想がよぎる。何か工夫しよう、どうにかして王者に食い下がろうとの執念は伝わってきた。 打線は1番マルティネス、2番レイエス、3番清宮と大幅に組み替えてきた。ベンチとしても何とか打開策を見いだそうと、動いた証しだ。しかし3人とも無安打と、ソフトバンクがはね返したのだが、それでも短期決戦とはいえ、なかなかできない決断に映った。 新庄監督の初年度は、優勝を目指さないという型破りのスタイルで走り出し、あたかも監督にも練習が必要との印象の中で、少しずつチームのスタイルを模索してきた。 8回に左のヘルナンデスに左の上川畑を代打で送ったところは、何とか四球で突破口をとの意図が感じられた。死球で出塁し、代走五十幡で三塁まで進めて同点機を作ったが、それも既存の野球観ならば、できないことだと感じた。 こんなことをやったらおもしろいのではないか、そういう新庄監督の発想の原点は、この短期決戦でも十分に感じられた。あとは、4回に近藤の右前への飛球をグラブに入れながらこぼした万波、正木のイージーなハーフライナーを落球した清宮など、球際のもろさから脱皮しなければ、王者を超えることはできない。 新庄監督の今後は注目だが、私としては「次の一手は何ですか？」との感想を試合後に抱いた。6位→6位→2位の続きは、ファンならずとも見たいはずだ。（日刊スポーツ評論家）
