米国民らに奴隷制度想起の偏向テキスト、政府と州当局が調査
[ワシントン 8日 ロイター] - 米国民らに「トランプ氏が(次期)大統領になった今、あなたは最寄りの農園で綿花を摘むように選ばれた」などと奴隷制度を想起させる偏向した文言が匿名のテキストメッセージや電子メールで送られる事件が起き、米連邦政府と州当局が調査に乗り出した。黒人米国人らの間で警戒感が広がっている。 南部アラバマ州、ノースカロライナ州、バージニア州、東部ペンシルベニア州などの人々に送られ、農家に出向いて綿花を収穫するよう求めている。送信元や何人に送られたのか、受信者がどのようにして標的にされたのかは分かっていない。 CNNとAP通信は、高校生や大学生を含む少なくとも21州の人々が受け取ったと報じた。 米連邦通信委員会(FCC)は8日、事件を調査していると発表した。 南部ルイジアナ州のリズ・マリル司法長官(共和党)は8日にロイターに対し、事件を調査していると語った。 白人のマリル氏にも8日午前8時17分にメールが送られた。民族を中傷する文言とともに「トランプ氏が(次期)大統領になった今、あなたは最寄りの農園で綿花を摘むように選ばれた」とし、「私たちの仲間がバンであなたを迎えに行く」と書かれていた。 マリル氏は米連邦捜査局(FBI)も事件について調べていると明らかにした。 FBIは7日に出した声明で「攻撃的で人種差別的なテキストメッセージが全米の個人に送られたことを認識している」と表明し、司法省などの連邦当局と連絡を取っていると説明した。 南部アトランタで広報の業務に携わるモネ・ミラー氏は「最寄りの農園」に出頭するようにというテキストメッセージを受け取ったことをソーシャルメディアでシェアしたところ、他の多くの黒人米国人が同じようなメッセージを受け取ったと答えたことに衝撃を受けたと語った。 今月5日の大統領選で民主党の黒人副大統領のカマラ・ハリス氏を破って勝利した共和党のドナルド・トランプ前大統領が来年1月20日に大統領に復帰後、公民権が後退するとの危惧が黒人米国人の間で出ている。ハリス氏に対して人種差別的、および女性差別的な攻撃を加えたトランプ氏は、連邦政府の多様性と包括性のプログラムを廃止すると公約している。 ロイターが特定した事案では、大統領選を控えた時期にはハリス氏の支持者に対する人種差別的な攻撃を含めた政治的暴力が1970年代以来の多さとなった。