政治に対する信頼回復を 衆院選与党大敗 中部財界コメント
27日に投開票された衆院選で、自民と公明の両党が大敗し、政権与党が過半数の議席を維持できなかった結果を受け、中部地方の経済界からは政治に対する信頼回復を求める厳しい声が相次いだ。 名古屋商工会議所の嶋尾正会頭(大同特殊鋼相談役)は、選挙結果について「政治不信に対する国民の厳しい審判の結果である」と指摘。国民の生活に大きく影響する政策課題に対し、「与野党は一丸となって取り組む必要があり、速やかに新たな政権の枠組みが固まることを期待する」と要望した。 中部経済連合会の水野明久会長(中部電力相談役)は「足もとで直面する社会、経済の課題は山積している」と強調。「デフレからの脱却を確実なものとする政策、併せて地震、豪雨災害による被災地復興のための支援など、さまざまな政策運営を滞らせることなく迅速に実行していただきたい」と求めた。 中部経済同友会の宮崎直樹代表幹事(豊田合成会長)は「ようやくデフレからの出口が見えてきた今、国政の停滞は許されない。党派を超えて、日本の将来のために真に何が必要か、優先順位をつけて、国民の納得を得たうえで政策を着実に前に進めていただきたい」とコメント。「日本が今の長い停滞から抜け出さなければ、世界から置いていかれるという強い危機感を持った国会運営ならびに政策運営を切に願う」と訴えた。
愛知県経営者協会の大島卓会長(日本ガイシ会長)は、「雇用・労働問題や財政健全化への取り組みは道半ばだ」としたうえで、「わが国の持続的成長につながる道筋と、働くものが成長の果実を実感できる具体的な政策を示し、実行していただくことを切望する」と注文した。 愛知中小企業家同友会の高瀬喜照会長(高瀬金型社長)は「選挙結果を表向きにとらえれば『政治とカネ』問題をはじめとした積年の病弊をやり過ごそうとする政治姿勢を民意が拒んだ結果だ。物価高や賃金、雇用などの課題に、既存政治が対応できていないことが背後にある」と指摘。「国民が豊かさを実感できる経済社会は、地域経済の根幹をなす中小企業を強力に後押しする政策なしに実現しない」とコメントした。 流通業界からは、ヤマナカ(本社名古屋市)の中野義久社長が同日発表した決算会見後に取材に応じ、「賃金を上げていくこともそうだが、その前に経済を回していくことが大事だ。一番の懸念は政局そのものが収まらないことだ」と話した。
また、自動車部品メーカーの太平洋工業(本社大垣市)の小川哲史社長も「個人的には(自公連立与党の過半数割れによる)政治的不安定を懸念している。国内、海外の諸問題への対応に遅れがでなければよいが」と話し、早期の政局安定を強く求めた。