日本初公開 全長15メートル史上最大の肉食恐竜が大阪に?
日本初公開 全長15メートル史上最大の肉食恐竜が大阪に? 撮影:北代靖典
全長約15メートルという史上最大の肉食恐竜「スピノサウルス」が大阪に現れた。ティラノサウルスを超え、しかも、四足歩行をして水中でも活動をしていたという驚きの姿を日本初公開だ。そんな話題尽くしの「恐竜博 2016」が、「大阪文化館・天保山」(大阪市港区)で開催されている。今回の目玉は、2014年に全身骨格が発表された「スピノサウルス」(全長約15メートル)と「ティラノサウルス」(全長約12メートル)が対峙した巨大な標本展示だ。まさに2体の夢の共演。並び立つ二大肉食恐竜の迫力が体感できるだけに、ファンは見逃せない。
7つのキーワードで構成
会場の展示は、「起源」「植物食」「水中進出」「赤ちゃん」「飛翔」「恒温」「鳴き声」と、近年の恐竜研究における7つのキーワードで構成されている。最初の恐竜は肉食だったと考えられているが、竜脚形類や鳥盤類の恐竜はそれぞれ植物を食べるという食性を開拓し、大型化していったと言われる。 国立科学博物館の真鍋真氏は、メディア向けに行われたギャラリートークでこう話している。「本展には7つのキーワードがありまして、そういう展覧会です。恐竜はもともとトカゲみたいに4足歩行で這っていた動物なんですけど、ある時、今から2億数千年前ですけど、立ち上がって2足歩行で歩き出した。速く獲物に追いつけるし、速く敵から逃げられるので、恐竜がシェアをどんどん伸ばしていったんじゃないかと思われる。植物食については植物を食べることによって、個体数を増やし、植物繊維を消化しないといけなかったので、腸を長くするために、どうも大きくならなくちゃいけなかった」などと解説した。
最近発掘された化石なども展示
恐竜は今から約2億3000万年以上前に最初の種が出現したと言われる。初期は四足歩行の爬虫類の1つのグループに過ぎなかったが、やがて二足歩行へと進化を遂げる。 肉食だけでなく、植物食に適した種、大型化した種、羽毛を持つようになった種、樹上から滑空する種などが現れ、多様な形や生態が近年の恐竜研究で明らかになっている。その起源から進化の過程を、最近発掘された化石などとともに展示している。 本展のハイライトである史上最大の肉食恐竜・スピノサウルスは、2014年に発表された新しい仮説によって、肉食恐竜では初めてとなる四足歩行をしているのがわかり、水生生活をしていた可能性も高いという。白亜紀中頃のアフリカ大陸に、ティラノサウルスを超える史上最大の肉食恐竜が生きていたということで、そんな恐竜の世界は知れば知るほど興味が尽きないのではないか。
赤ちゃん恐竜の化石も初来日
また、赤ちゃん恐竜の化石も初来日だ。これは世界にまだ1つずつしかない「カスモサウルス」「パラサウロロフス」の赤ちゃんの全身骨格化石で、これも日本初公開となっている。さらに赤ちゃんの泣き声を再現し、親子の鳴き声が聞ける体験コーナーもある。「大人のほうが低くて大きい。子どもは高い声で、大人と子供は鳴き声が違う」(真鍋氏)とか。展示期間は来年1月9日まで。 (文責/フリーライター・北代靖典)