着想源はマフィアの妻! 2024最新トレンド【モブワイフ(Mob Wife)】が支持される理由
“クワイエット・ラグジュアリー”や“クリーンガール”とはサヨウナラ。くっきりアイラインにビッグヘア、フェイクファーにヒョウ柄、ゴールドのアクセサリー。同じラグジュアリーでも正反対を行く、【モブワイフ(マフィアの妻)】スタイルが、SNSや海外セレブの間でにわかに注目されている。過剰で強いスタイルになぜ今、私たちは惹かれるのか。「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」ほか、豊富な参照イメージをひも解きつつ、US版「ELLE」のファッションコラムニストが分析する。
ここ数シーズンに現れた無数のマイクロトレンドの間で、TikTokとメディアでもてはやされた最も重要なテーマはハイパー・フェミニニティだ。ホットピンク一色の“バービーコア”からゼロ年代の少女の夢を詰め込んだ“ビンボコア”、リボンが愛らしい“コケットコア”、バレリーナにインスパイアされた“バレエコア”まで、あらゆる種類の甘く、無邪気で、ガーリーなスタイルがランウェイを席巻。そして、ニュートラルなカラーパレットと洗練されたシルエットを特徴とする“クリーンガール”の美学と彼女が愛する“ブルーベリーミルクネイル”や“ストロベリーメイク”などかわいい食べ物の名前が付いたトレンドは私たちをたちまちとりこにした。
しかし、TikTokを信じるなら、今やそれらは全部オワコン行きだという。このSNSで最近もてはやされているのは「女性らしく、ほとんどパフォーマンス的で、ひねりが加えられ、決して無邪気ではない」、厭世的な【モブワイフ(mob wife)】、すなわち“マフィアの妻”のファッションだ。
モブワイフは『殺人者』(1946)や『白熱』(1949)などの映画に登場するギャングの愛人たちのことで、以来、映画のお決まりのキャラクターの一つになっている。押しが強く口が悪い彼女はすべてを見てきたし、そのように見える。そして、好むと好まざるに関わらず、彼女が犯罪と隣り合わせなことによる、ある種の魅力を備えている。