警察庁の露木康浩長官が都道府県警の本部長らを集めた会議で訓示した=2024年10月10日午後2時31分、千代田区千代田区、板倉大地撮影

　衆院選を控え、警察庁は10日、全国の警察本部長を集めた会議を東京都内で開いた。2022年の安倍晋三元首相銃撃事件を教訓に要人警護のあり方を見直して以降、初の大規模な国政選挙で、露木康浩長官は警護と警備に万全を期すよう指示した。厳正、公平な選挙違反取り締まりの徹底も指示した。 【写真】都道府県警の本部長らを集めた会議が開かれた=2024年10月10日午後2時19分、東京都千代田区、板倉大地撮影 　安倍氏の事件に続き、昨年4月には岸田文雄前首相に爆発物が投げ込まれる事件が発生。警察庁は、警護の計画段階から警察庁が関わる仕組みを導入したほか、演説の主催者側との連携の強化などを図ってきた。露木長官は訓示で、7月に米国でトランプ前大統領が狙撃された事件を挙げ、「選挙運動に伴う警護は通常に比べ格段に危険度が増す」と指摘。主催者に対し、屋内会場を優先的に選ぶよう強く働きかけることなどを求めた。組織に属さない単独の攻撃者（ローンオフェンダー）の対策の重要性も指摘。違法な事案の前兆につながるような情報を各部門で確実に共有することなどを指示した。 　選挙違反取り締まりでは、4月の衆院補選で政治団体「つばさの党」の代表らが他の陣営の選挙カーを追いかけるなどしたとして起訴された事件も念頭に、「街頭演説などを妨害する選挙の自由妨害事犯にも適切に対応してほしい」と述べた。（編集委員・吉田伸八）