私たちを不幸にする「認知の歪み」…精神的にも経済的にも影響していた!
お金が貯まらなくて困っている。ちょうど貯まってきた頃に出費が続く――。 これを心の中に住む「もうひとりのあなた」が引き起こしているケースがあります。 【写真】「マウンティング」されたら使いたい…相手をビビらせる「言い返し」 「もうひとりのあなた」である「心の防衛機能」を「ナイト(騎士)くん」と名付け、その謎を解き明かしながら、誰かに頼るのではなく、あなたがあなた自身を助けることができる方法をお伝えしている『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。
自己実現できない大義名分
お金が貯まらない人は、「お金が貯まってしまったらやりたかったことが実現できる」ことを怖がっているケースがあります。お金がなければやらないことの最高の理由となる。ナイトくんはそれをわかっていて、あえて出費するようにあなたを仕向けている可能性があります。 「親への罪悪感を意識したくないから、お金が貯まらないようにしている」というパターンもあります。 お金で苦労した両親を見てきた人は、自分だけお金を使ってやりたいことをするのに申し訳ないような罪悪感を覚えます。 自分の好きなことにお金を使うことを強く禁じられてきた人も、自分の楽しみや自己実現につながるお金の活用にやはり罪悪感を覚えます。 この罪悪感は強力で、親を裏切るような、親の人生を踏みにじるような感覚につながっている場合も多く、大きな傷になっています。 お金が貯まらなければ、罪悪感と自己実現の狭間で葛藤する必要がないので、お金が貯まらない方がじつは楽なのです。 お金が貯まったら、友達と高級ホテルを巡って旅行したり、優雅にお茶をしたりしたい、というちょっとした夢がある女性がいました。 この方にとっての自己実現のひとつです。 ですが、なかなかそのお金が貯まらないと相談がありました。 心理セッションを通して見えてきたのは、それを実行してしまったら親から、 「そんな無駄遣いして」 「私はこんなに苦労してお前を育てたのに、高級ホテルでお茶なんてずいぶんいいご身分ね」 と、言われているような感覚に襲われることに気づきました。 親に申し訳ない気持ち、罪悪感が湧いてきたそうです。 また、旅行先で友達とけんかをするかもしれない、病気やけがをするかもしれない、そんなことになったら「自分はなんでいつもうまくいかないのだろう」と自分を責めてしまう。 そんな強い不安があることにも気づきました。 しかし、直接的な要因である不安や、親への罪悪感を理由に旅行などをやめるのは、悲しくて情けない感じがしたり、癪な感じがしたりします。 さらに、それらがさまざまな過去の傷を思い出させてしまいます。 そこで、あえて「いまはお金がないから」という、わかりやすい表面的な大義名分を使うことで、行動を止めていたのです。 お金が貯まらないのは困った悩みですが、この問題のおかげで、より深く傷つくことから心を守ることができていたのです。 ナイトくんはそれらをすべてわかった上で、お金が貯まらないようにと、その方を仕向けていたのです。 お金に関するテーマは個人個人の背景によって異なり、本当に多くの種類のナイトくんが関係しています。 共通しているのは、ナイトくんには悪気は一切なく、お金が貯まらないようにしてあげることで、心を守ろうとしてきたという目的です。