輪島市「近未来的」デザインホテル、解体視野に売却へ 老朽化と被災で改修難しく
■地震後に被災者の命つなぐ
ホテルは地震後、周辺住民らの避難所としても機能し、元日から約5日間は40~50人ほどが身を寄せた。幸いガスが使えたため在庫の食材でカレーや豚汁などを提供できたという。野中さんは「停電だったので冷蔵庫にある物から使った。ほかの避難所よりは食べ物はあったので、そこはよかった」と振り返る。
現在、市は民間への売却に向け公募準備を進めているが、「更地でほしい」との声が多く寄せられているという。奇抜な設計で30年以上も愛され続けたビュー・サンセット。被災者の命をつなぎとめたのを最後に、その役目を終えそうだ。(山本玲)
■毛綱毅曠
もづな・きこう 北海道釧路市出身の建築家。神戸大工学部建築学科を卒業後、「毛綱モン太」名で設計を始める。宇宙や自然と共生する風水思想を取り入れた独創的なデザインは、建築界や美術界に大きな影響を与えた。多摩美術大教授だった平成13年、肝硬変のため59歳で死去した。