そこはまるでパリの名所モンマルトル「まだまだシャンソン行けるぞ」クミコらの歌唱に万雷の拍手
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 日本で愛され歌い継がれるシャンソンを生演奏で楽しむ「ニッポン・シャンソン・フェスティバル2024」が10月23日に、東京国際フォーラム・ホールCで行われた。 6月30日にBS朝日で放送された特別番組「ニッポン・シャンソン 越路吹雪・銀巴里…歌い継がれる愛の讃歌」のコンサート版。今年は日本のシャンソンの女王・越路吹雪さんの生誕100年。さらにはシャンソンの本場フランス・パリで、オリンピック・パラリンピックが開催された。シャンソンがあらためて注目される中でのコンサートで、愛好家だけでなく、数多くの観客が訪れた。 出演者はクミコやソワレのようにシャンソンの第一人者もいるが、多彩な顔触れで新鮮なステージとなった。俳優の松村雄基。3人組のボーカルグループ「LE VELVETS」から日野真一郎。元宝塚トップスターの安蘭けい。きゃんひとみ、メイリー・ムー(星屑スキャット)、ソワレの3人によるユニット「ア・ラ・シャンソン」。若手シャンソン歌手のレジョン・ルイ。そして、故松田優作さんの夫人で俳優の松田美由紀。 ステージには街灯やベンチが置かれ、まるでパリの名所モンマルトルにいるような気分になる。雑踏の音などが流れ、歌手が登場する。まるで舞台の場面転換のように、コンサートが進んで行く。 そんな雰囲気とは一変、「ア・ラ・シャンソン」の3人が越路吹雪メドレーを歌うと、今度はミュージカルのように楽しい世界が繰り広げられた。 松田は約5年前からシャンソン歌手としても活動している。本人は「人生で初めての(大きな)歌のステージです」と語ったが、「孤独」「黒い鷲」を情感たっぷりに歌った。特に「黒い鷲」は、空が割れ、過去からワシが飛んで来るという歌詞。松田は「どうしてもこの歌を歌うと亡き夫のことを思ってします。今日は泣かないと思っていたのに、泣いてしまいました」と吐露した。 トリは司会進行も務めたクミコ。「愛しかない時」と「愛の讃歌」を、圧倒的な歌唱力と表現力で歌い上げた。会場のすべての人が引き込まれ、万雷の拍手が巻き起こった。 クミコは「こういう楽しいシャンソンもあるんだな。まだまだシャンソン行けるぞ、って感じました。みなさんのそれぞれの形のシャンソンを聴けて、未来を感じました。シャンソンを絶滅危惧種にするには、あまりにも惜しい。またぜひやりたい」と誓った。【笹森文彦】 ○…クミコが70歳となった記念のスペシャルライブを12月3日から4日間、東京・有楽町の「I,MASHOW」で開催する。多彩なゲストと共演する。12月3日は作家でタレントの阿川佐和子。同4日はミュージカル俳優sara。同6日は異色の歌手タブレット純。7日がクミコの命名者でもある作詞家・松本隆氏。