ウクライナ東部前線の衛生兵が明かす「厳しい現実」、ロシア猛攻で兵士の士気に懸念も
東部ドネツク州の前線付近で、ウクライナ兵が治療のため搬送されてきた。 診察し包帯を巻いたのは、看護師のクリスティナ・シオモワさんは約3年前、ロシアの侵攻初日に軍に入隊。前向きな姿勢を心がけているとしつつも、その言葉は厳しい現実を伝えていた。 「敵の攻勢により撤退せざるを得ない。兵士は自信も士気も上がらないと話している。戦闘に負けても、戦争に負けたわけではないと全員がよく理解している」 ロシア軍は侵攻以来、最速で軍を進め、ドンバス地方の集落を占領し続けている。双方は来年想定される和平交渉を前に、有利な立場を構築しようとしている。 ウクライナ当局は西側諸国に、武器や防空システムの追加供与を含む支援を求めている。ただ、ウクライナ軍は人員不足から東部戦線の一部地域で劣勢に立たされ、ロシア軍の容赦ない攻撃を受けているという。 ロシア軍は現在、要衝ポクロフスクからわずか3キロの地点に位置。同地が陥落すれば、ウクライナ軍の補給線は深刻な混乱に陥る恐れがある。 冬を迎えるウクライナでは、重要インフラ施設への攻撃も展開されている。 「冬の寒さが影響を及ぼしている。私たちは皆、生きている。(侵攻開始から)3回目の冬を迎える。毎年夏になると、厳しい冬がもう来ないようにと願っている」 トランプ次期米大統領は、米国の対ウクライナ支援を批判し、具体的な方法は明らかにしていないが、早期終戦を目指すと約束している。 ゼレンスキー大統領 「おかえりなさい、ドナルド。何といえば良いだろうか」 ゼレンスキー氏は19日、会見でトランプ氏を味方につける必要があると語った。 「トランプ氏は強い人物だ。味方になればと強く願っている。私にとって、非常に重要なことだ」 ロシア側の攻撃を阻止可能な安全保障をウクライナが確保できた場合には、来年の交渉で和平を実現したいとの姿勢を示した。ウクライナはロシアほど兵士の命を犠牲にしたくないと主張している。 シオモワさんは、こうした犠牲がウクライナの団結を強めていると語る。 「より良い未来を信じる妨げにはならない。これまで行ったこと、失ったことの全てが、私たちの決意を支えると信じている。しっかりと立ち上がり、踏ん張り、前進する助けになると。私たちの一歩一歩は、失った人々と共に踏み出す一歩でもある」