レクサスLSヒットは前身のV8クラウンにあり! トヨタ8代目「クラウン」の軌跡
V8エンジンを搭載したトヨタ130系クラウンとは
レクサスが誕生したのが1989年10月のことです。トヨタの高級ブランドの位置づけでしたが、日本投入に先立ち、アメリカで販売を開始したのです。最初のモデルは高級セダンである「LS」でした。 【画像】トヨタ「クラウン ロイヤルサルーンG」の画像を見る(10枚)
LSは爆発的にヒットしました。高級セダンで世界を席巻していたのは、地元キャデラックやフォード、あるいはドイツのメルセデスやBMWであり、日本のモデルはそのジャンルに属していませんでした。そんなプレミアムゾーンにレクサスはLSを送り込み、成功を収めたのです。 もっとも評価されたのは、エンジンの静粛性です。振動の少なさです。ボンネットにシャンパングラスをタワー上に積み重ね、エンジンを始動させても液体が全く波立たないCMが話題をさらいました。それほど振動がなかったのです。 それがアメリカ国民に強烈な印象を与えました。 「安いけれど壊れない」 「小さいからに燃費がいい」 それまでの日本車の評判はそんなところでした。ところがそんな屈辱的な評判を覆したのです。メルセデスやBMWをターゲットに開発されたレクサスLSがフラッグシップとなり、のちのレクサスブランド成功の足掛かりになったのですね。 実は、そのレクサスLSに搭載されたエンジンこそ、今回ここで紹介するクラウンV8に搭載されていたそのものなのです。
クラウンはレクサスが誕生するまで、最高級モデルとして君臨していました。特に1987年9月に誕生した8代目130系クラウンは、1986年から始まったバブル経済で富を得た富裕層をターゲットに開発、その中でも最高級グレードに、それまで日本に存在していなかった高級モデル用のV型8気筒エンジンを搭載したのです。 時代はバブル経済の狂乱に浮かれていますから、気筒数は多いのを好みました。4気筒より6気筒、6気筒より8気筒です。排気量も大きいに越したことはありません。2リッターより3リッター、3リッターより4リッター。クラウンV8に搭載したのは4リッターユニットでしたね。