感謝を胸に、ダルビッシュは開幕戦のマウンドへ
開幕戦を任され、先発ローテーションの軸として投げることは決して当たり前のことではなかったはずだ。パドレスのダルビッシュ有投手(37)が4度目の開幕投手に指名された。
昨年8月下旬、右肘の炎症で負傷者リスト(IL)入り。9月は復帰できずにシーズンを終えていた。6週間のノースロー。12月にはブルペン投球を再開するなど地道にリハビリと調整を進めてきた。
だからこそ、3月11日に開幕投手が発表された日の会見では、チームスタッフに感謝の言葉を述べた。
「チームの人とストレングス・コーチもそうですけど、理学療法士、トレーナーとかと、チームに助けてもらいながら、ここまで来たので、充実感はあります」
例年、オフのトレーニングメニューは自分で組んできた。しかし、今回はリハビリと体力・肉体強化を同時に行う必要があった。自宅のあるサンディエゴで家族と過ごしながら、ペトコ・パークに通う日々。午前中はトレーニング、午後は父親、というサイクルで過ごした。
ときには、パドレスが獲得を狙うフリーエージェント(FA)選手を勧誘する役割もあった。オフはサンディエゴを離れる選手も多い。その分、サンディエゴに滞在を続けている主力選手で実績と知名度、チームでのリーダーシップのあるダルビッシュがリクルーターであり、パドレスの“案内役”を務める貢献もあったそうだ。
開幕投手の大役の指名も泰然自若と受け入れた。
「ああ、そうですか、って感じ。でも、シルト監督にすれば、韓国での開催とホームでの開催というのは、すごく特別だと思うので、その中で最初に選んでいただいたのは本当にうれしく思います」
シルト監督によれば、正式に伝えたのは「4日前(-現地時間3月7日)」だった。ダルビッシュ本人はどう感じていたのか。
「なんとなくは分かっていました」
ただ、周囲は開幕第2戦と予想。マスグローブ、キングらの方が試合や実戦形式で投げる球数は多く、調整ペースは進んでいるようにみえた。だが、実際には「けっこう前から、それ(開幕投手)は考えながら調整していた」と明かした。