AOKI、レディスウェア「全部盛り」で勝負する理由、14項目の機能を猛プッシュ、女性客獲得へ大改革
今年の秋冬、スーツ大手「AOKI」の店頭は、いつものシーズンとどこか様子が違っていた。明らかに熱が入っているのがレディスウェアのコーナーだ。 【写真で見る】どんなデザイン?上戸彩と今田美桜が着用する「アヤジャケ」「ミオジャケ」 洗える、防シワ、吸汗速乾、抗菌防臭、UVカット、静電気軽減など、さまざまな機能性を売りにした商品群を、ジャケットを中心に数多くそろえている。 AOKIはこの10月、働く女性のニーズを研究し、2021年から展開してきたプロジェクト「MeWork(ミワク)」をブランドへ格上げしている。着回しや手入れのしやすさなど機能面を重視した商品開発を進め、販促も一段と強化中。ミワクブランドの成長によって、現在売上高の2割を占めるレディス事業を3割まで広げる考えだ。
スーツの需要が縮小し続けている紳士服業界。リクルートスーツや礼服などの商品群から脱却し、オーダースーツやカジュアルウェアなど新たな商品に注力するのが業界のトレンドだ。AOKIは使いやすさにこだわった商品とブランディングを強化し、女性客の囲い込みに乗り出している。 ■スーツの着づらさやストレスを機能軸で解決 ミワクは20~40代の働く女性がメインターゲット。どこから見てもきれいに見えるシルエットながら、毎日楽に着られる動きやすさと丈夫さ。汚れても洗える素材。洗濯後やハンガーにかけてもシワになりにくいなど、機能面に徹底的にこだわっている。
ストレッチ性やUVカット素材、防シワ加工、静電気の軽減、撥水、ノンアイロンなど、機能面の特長は全部で14項目に及ぶ。まさに働く女性のためのブランドだ。 こうした機能と着ごこちを両立させるため、開発は素材からこだわっている。例えばジャケットではポリエステルを使ったツイードに見える生地を採用。本物のツイードでウールを使うと素材が粗く、厚くなってしまうが、ポリエステルで柔らかい生地に仕立てている。 そのほか、スーツ独自の縫製技術も活用している。肩の部分を立体的な形状にする「いせ込み」という縫製技術を用いて、動きやすいように可動域を広げているのだ。