席料、週末料金、90分制…「その独自ルールあり?」初めてのお店で失敗しない「見極め方&対処法」
食べ方を指示する飲食店もある。数品が同時に提供されて順番通り食したり、途中でトッピングやコンディメントを加えたりすることを促されるのだ。つくり手がどのように喫食するのが最もおいしいかと考えた結果なので、押し付けがましいと感じたとしても、金言として受け止めるのがいい。それでおいしくなければ、諦めるしかない。 滞在時間が制限されることもある。カフェや喫茶店では散見されるが、居酒屋やビストロ、デート向けのおしゃれなレストランなどでもよく採用されている独自ルールだ。その理由は回転率を高めるためであり、2時間が一般的。 チャージ料金やサービス料も飲食店によって異なる。チャージ料金であれば、およそ500円以上から。ファインダイニングでは、チャージ料金ではなくサービス料を課されることがほとんどで、合計料金に対してだいたい10%以上が割り増しされる。いずれとも、遅い時間帯や生演奏の時にだけ適用されることも少なくない。週末やクリスマスなどの繁忙期、1日のうちのピークタイムなど、客入りが多い時に割り増し料金が発生することもある。 個室の利用条件も幅広い。オーソドックスなのは1室いくらと決まっているケース。特定の人数以上であったり、合計金額いくら以上であったり、特定のプランとセットになっていたりして、個室が無料で利用できることもある。 独自ルールとして類別するのもどうかと思うが、日本料理や鮨、イノベーティブなどのファインダイニングでは、メニューが用意されておらず、値段がよくわからないことも多い。メニューがあったとしても、値段が明記されていなかったり、いくらからと最低料金しか記載されていないことも、ままある。「どのようなモノやサービスをどのような条件でいくらで提供する」といった、飲食店と客における基本的な契約関係を鑑みれば、このような手法は大きな問題。ただ、ファインダイニングの場では、指摘することも細かい値段を訊くことも極めて“無粋”なので、このような独自ルールが一般化している。 支払いについては、3万円以上の客単価なのに現金しか対応していなかったり、クレジットカードが使用できたとしても、クレジットカード会社との契約で本来は禁止されている使用条件を設けたりしている飲食店も少なくない。具体的には、ランチは使用不可、5000円以上の支払いのみ対応、クレジットカード使用の場合には10%割り増しといった条件だ。 ◆「納得できなければ、その時点ですぐスタッフに告げる」…受け入れてしまった後は契約が成立 様々な独自ルールを紹介してきたが、どうすれば不本意な独自ルールから逃れられるだろうか。 入店してからは飲食店のペースにならざるを得ないので、入店前に公式サイトやグルメサイトで一通り確認しておくことが重要だ。予約であれば、サイトからでも電話からでも説明があるはずなので、漏れなく確認していただきたい。 もしも、入店してから、周知されていなかった独自ルールに納得できなければ、その時点ですぐスタッフに告げる必要がある。なぜならば、受け入れてしまった後では既に契約が成立してしまっており、撤回することが困難だからだ。 会計の際に気になったことがあれば、明細書を確認してもらいたい。明細書を出さない飲食店でも、詳細がわからないから支払えないと告げれば、明細に相当するものを提示してもらえる。 日本には多くの飲食店があり、東京だけでも10万店以上が存在している。これだけ多くの飲食店があれば独自ルールが多岐にわたるのも当然のことかもしれない。それぞれの飲食店がもった個性だと受け止めて、“独自ルール”との一期一会を楽しんでもらいたい。 文:東龍 ’76年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で’02年と’07年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。
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