「あの悔しさは一生消えない」五輪&W杯落選。菅原由勢の強靭なリバウンドメンタリティ「2年は長かったけど、すごく大切な時期だった」
楽しみな内田篤人との邂逅
「10代の頃よりも内田選手に近づいているという感覚はありますし、同じ距離感ではないとは思っています。でもシャルケで活躍し、チャンピオンズリーグで結果を残した彼のことを考えると、自分はまだ比べられるに値しない。酒井宏樹選手(浦和)もそうですけど、ああいう選手に並ぶような力は全然ないと感じています。 今の日本代表でも、右サイドバックがオランダリーグ所属じゃまだまだダメ。そこが代表の唯一のウィークポイントじゃないかというのは何度も思ったこと。やっぱり所属クラブ、リーグのレベルを上げるべく、もっともっと高みを目ざさないといけないなと痛感しています」と本人は自らを鼓舞していた。 自己評価が低いのは、2年前の東京五輪落選の挫折が大きいという。菅原はその時点でAZでは2シーズンを終え、ヨーロッパリーグも経験していたが、森保一監督はオーバーエージの酒井宏樹の招集という決断をした。 同じポジションにベテランを呼ばれたというのは「実力不足」を突きつけられたのと同じ。1年前の2022年カタールW杯の選外も含め、菅原は厳しい現実をしっかりと受け止めたという。 「東京五輪に宏樹君が来て、ワールドカップも実力で落ちて、本当に『これでもか』ってくらい悔しい思いを2年連続しましたね。だから、僕は本当にサッカーのことだけを考えてきたし、『絶対、日本代表になってやる』って強い気持ちでここまで来ました。 今、代表には来れましたけど、あの悔しさは一生消えることはない。本当にどん底というか、悔しい経験、誰も味わえないような経験をしたからこそ、強くなれるっていうのは間違いなく僕にはあるんです。 いろんな自己分析をして、自分が何をしなきゃいけないのか、何が必要なのかを徹底的に考えたし、休んでいる暇なんてないっていうくらいトレーニングもした。いろんな取り組み方も変えました。 森保監督も五輪やワールドカップで選ばなかったから、ポイって捨てるような方ではなかったし、そういう人だと知っていたから、『次こそは必ず選んでもらおう』と思って頑張れたんです。 あのリバウンドメンタリティで僕自身は強くなれた。2年は長かったけど、すごく大切な時期だったなと思うんですよね」と、菅原はしみじみと語っていた。 ようやく内田、酒井宏と同じ土俵に立った菅原。12月28日からスタートするタイ戦(1月1日)に向けた代表合宿には、内田もSB専門の指導者として加わることになっている。そこで菅原がどんな刺激を得て、さらなる飛躍を遂げるのか。2人の邂逅が今から非常に楽しみだ。 ※第2回終了(全4回) 取材・文●元川悦子(フリーライター)
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