【バスケ】「吉と出るか凶と出るか」信州ブレイブウォリアーズがどうしてもペリン・ビュフォードが必要だった理由
Bリーグ2部(B2)・信州ブレイブウォリアーズは9日、長野市内で新体制発表会見を開き、木戸庸行社長と勝久マイケルヘッドコーチが登壇した。 昨シーズンはチーム史上最低勝率となる10勝50敗(勝率16.7%)でシーズンを終え、B1からB2へと降格した信州。再起を図る今オフシーズンには、大規模な補強を敢行。B1で2季連続得点王とベスト5に輝いたペリン・ビュフォードやパリ五輪で日本代表として活躍した渡邉飛勇、B2でMVPを受賞した経験のあるテレンス・ウッドベリーや元日本代表のアキ・チェンバースらを新たに加え、強力な布陣を完成させた。 プレジデント・オブ・バスケットボール・オペレーションズとしてチーム編成も担当した勝久HCは「この夏は決してこのロスターにたどり着くまでスムーズであったわけではなく、時間はかかったが、とてもうまくいったオフシーズンだと思っている」とオフの動きを総括。「できる限りベストなチーム編成ができた。新しい選手たち、そして(昨シーズンから)残ってくれた選手たちと一緒に働き始めるのがとても楽しみに思えるチーム編成になりました」と笑顔を見せた。
求めていた闘争心 マーシャルとのバランスにも期待
目玉となったのはやはりペリン・ビュフォードの加入だ。昨季まで4シーズンを島根スサノオマジックで過ごし、昨季は平均22.6得点(リーグ1位)、9.5リバウンド、7.5アシスト(同2位)、1.8スティール(同6位)、1.3ブロック(同5位)を記録。B1で通算24回のトリプルダブルを記録するなど、リーグ屈指のオールラウンダーとして知られている。 勝久HCはビュフォードの獲得については「まさかぺリンを獲得するとは思っていなかった」という。 「ぺリン(ビュフォード)は本当にバーサタイル(万能)な選手。本来は3番だが、Bリーグでは4番も多少できて、メインの1番もできて、3、4、1(のポジションが)できるすごくレアな選手。プレーメーカーにもなれる、スコアラーにもなれる、ディフェンスも幅広いポジションにつける。リングを守れる。我々に必要な要素がたくさんあって、この何年もスタッフと話すときに『ぺリンビュフォードタイプ』の選手を探している、とずっと話していた。今シーズンの編成上、(ビュフォードのようなタイプがチームにいることが)かなり重要だった。それで本物のペリン・ビュフォードを獲得できたというのは、本当に良かった」 ビュフォードの獲得に向けては「この夏に何度も話し合って、熱意をもってオファーをして、面談をして、何時間も話し合った」といい、「彼の状況とわれわれの熱意とタイミングがマッチして、(契約という)結果につながった」。 その万能なプレーはもちろん、高い競争心やチームメイトに対しても妥協を許さないストイックさでも知られるビュフォード。今までの信州にはいなかったような強烈な個性の持ち主であり、勝久HCのスタイルにフィットできるかどうかが注目されている。だが、その個性こそ指揮官がチームに求めていたものだったようだ。勝久HCは語る。 「そういう(闘争心にあふれるような)リーダーシップスタイルは『吉と出るか凶と出るか』という部分はあると思うが、我々は去年、そういう部分に欠けていたというのが1つある。なので、普段はそういうリーダーシップスタイルじゃない人間も昨シーズンはそういう要素を見せてしまうくらいのフラストレーションがあった。常にウェイン(マーシャル)のように肩に手をかけて優しくするアプローチではなく、本来大人しい人もそういうアプローチをとるようなシーズンだった。タイミングとしては、むしろ(ビュフォードのように)それぐらいコンペティティブ(競争心にあふれるような)な選手はめちゃくちゃウェルカムだった。そういう闘争心を望んでいた」 キャプテンとして長年勝久HCとタッグを組むウェイン・マーシャルは、多くを語らず自身の行動によってチームメイトを導くタイプ。だからこそ、ビュフォードのような闘志むき出しのリーダーシップが必要だった。 「ぺリンの獲得の時にウェインと話をしました。リーダーシップスタイルが2人は違うが、(その違いを)ポジティブにとらえて、バランスの取れたリーダーシップスタイルになれると思っている。ぺリンはどちらかというとコービー(ブライアント)タイプというか、MJ(マイケル・ジョーダン)タイプというか、そういう引っ張り方をするタイプ。ウェインはティム・ダンカンタイプというかステフ・カリータイプというか、チームメイトに手を置いてフォローしていく、そういう優しさを持っているタイプ。この2つのリーダーシップはポジティブに働くように持っていきたいし、そうできると信じている」