【インタビュー】阪神・湯浅京己 『抑え』は目指すべき場所「『打者が打ちづらいボールを投げる』がピッチャーとして一番大事なこと」
進化を目指し変化へ
今年は1年間ケガなくチームのために腕を振るつもりだ。そのためにもまずは自分の投球フォームをつくり上げる
この男が一軍にいなくても十分な陣容を持っている阪神の投手陣。しかし、昨年の日本シリーズでも証明したように、マウンドに上がるだけで球場の空気を変えられる存在感がある。勝ちパターンで1年間投げられるようだと連覇の可能性も高くなる。そのために、もう一度投球フォームを固め「抑え」という場所にチャレンジしていく。 取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也 2月23日の巨人戦[那覇]で1回を2失点。指揮官の怒りに触れてしまい二軍行きとなった。どうでもいい投手であれば、そこまでの怒りはないはず。期待の裏返しでもあるのだ。一方、本人はオフに渡米するなど、自分に合う投球フォームを模索しながら、調整を繰り返している。その型が出来上がったときに、大きな力をチームにもたらすはずだ。 ──2月のキャンプは思いどおりの調整はできていますでしょうか。 湯浅 まずは、開幕に合わせて状態を上げていけるように、キャンプ期間がいろいろと試せる時期だと思うので、さまざまなことを考えてやっています。 ──一度左足を上げてストップしてから投げるというのが、投球フォームの特徴でしたが、それをアメリカでのトレーニングから、止めずに着地しています。それは何か意図があるのでしょうか。 湯浅 根本的な投球への考え方、投げ方は変わっていないんです。そこは見ている皆さんとの見え方が違います。止まらずに投げている状況で、止まったときにできていた体の使い方が、足をスムーズに動かすことで、できないこともあります。そこを調整をするために、足の上げ方や、使い方を変えてみたりという工夫をしています。 ──足の使い方は、どちらの足ですか。 湯浅 どちらもですね。左足の上げ方で、右足の使い方がしっくりきたりするので、そこも工夫をしながら、今はいろいろと試しながら投げています。 ──左足を上げてから止めずに投げていく、という方向にしたのは何か理由があるのでしょうか。 湯浅 実はまだ、この投げ方でいくとは決めていないんですよ。自分の投球フォームのバリエーションを多くするためにという考えの中で、キャンプで試していることの一つなんですよ。もし何かあったときには、止まって投げるところに戻れますよね。だから今は試している段階。つまり今年の自分の体に合った投球フォームを探しています。僕自身、投球フォームに完成はないと思っていますので。キャンプだからこそ、チャレンジして自分に合うものを見つけようとしています。 ──そこは私の解釈が間違っていたということですね。 湯浅 いや、実はそこまでメディアに詳細には話していませんでしたので、分からないのは仕方ないです(笑)。 ──合わなければ、元に戻すと言われましたが、もし戻ったときには、さらに進化した投球フォームになっているのではないですか。 湯浅 それは間違いないと僕も思っています。さまざまなことにトライしているので、違うやり方も見つけられますし、自分にしっくりくる方法も見つかる。発見できることも多くあるんじゃないかな、と。自分を成長させるために、それは必要なことかなと思っています。もっともっと良くなりたいですから。 ──それができたら、進化した投球フォームになるということですよね。 湯浅 はい。もし足を止める投げ方に戻したとしても、昨年までの投球フォームに完全に戻ることにはならないと思っています。その中で、足の上げ方を工夫できるようになれば・・・
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週刊ベースボール