帝京FW森田晃「横山杯優勝は目標だった。来年は夏・冬の予選で優勝を」
横山杯第24回全国ユース招待サッカー大会は12月28日、茨城県神栖市の若松運動場で1STTOPの決勝が行われ、帝京(東京)が2連覇を狙った桐光学園(神奈川)を1-0で下し、出場30校の頂点に立った。 【フォトギャラリー】帝京vs桐光学園 立ち上がりこそ桐光学園のサイドを中心とした速い攻撃に押し込まれる局面もあったが、グループとして高いレベルにある守備力を生かして相手の攻めをはね返すと、徐々にリズムをつかみ始めた。 前半16分にボランチの近江智哉(2年)が、FKから鋭い弾道でゴールを狙えば、22分には右FKのボールをエースFW森田晃(2年)が惜しいヘディングシュートを放った。しかし前半は優位な試合展開に持ち込みながら、0-0で終了した。 後半も序盤から帝京のペースで進み2、5、15分と先制のチャンスがあったが取り損ねていた。しかし後半15分から送り込まれたジョーカーが、ベンチの期待に見事に応え、値千金の一撃を決めた。切り札とは1年生FWの宮本周征だ。 こう着状態が続いていた22分だった。ボランチの大屋雅治(2年)から中央やや左でパスを預かった宮本が森田に縦パスを入れたが、これがこぼれ球となって再び宮本の足元に転がってきた。前にいたDFをキックフェイントでかわすと同時にGKが捕球態勢に入るタイミングも外し、ゴール右に完ぺきな決勝点を蹴り込んだ。 「0-0だったので、絶対に点を取ってやろうと思ってピッチに入りました。もう少し右に打ちたかったんですが、キーパーの横を抜けたので良かった。優勝を決める得点なのですごくうれしい」 ヒーローは淡々とした口調で喜びをかみ締めた。 今年度の第102回全国高校選手権東京A予選は準決勝で敗退したが、宮本は初戦の3回戦から準決勝までの3試合にいずれも途中出場。3-0で快勝した3回戦の東農大一戦ではゴールも決めている。「自分は森田さんの控えで途中から出て流れを変える役目を担っている。國學院久我山に負けた準決勝も得点する気持ちでしたが、(会場の)西が丘の雰囲気にすごく緊張してしまった。来年こそリベンジしたい」と精神面での成長を誓った。 その國學院久我山戦で同点ゴールを挙げた森田は、「横山杯の優勝はチームの目標でした。自分の持ち味はポストプレーと守備の裏に抜ける動き。来年はもっと鍛えてインターハイと選手権の両予選で優勝したい」と意気込む。Jリーグ入りを目指すエースは、得点を量産できるストライカーに成長する決意も示した。 187㎝の大型CB田所莉旺(2年)も選手権予選経験者で、2月に川崎フロンターレU-18から転籍してきたクレバーな選手だ。制空権を握ったばかりか、正確なフィードでビルディングアップもこなした。 「チームとしてハードワークできたので、それほどやられる場面はなかった。ハーフタイムにはみんなで意見をぶつけ合い、より良い戦い方を模索しています。うちは全員がリーダーですから」 近年の帝京は全国高校選手権に縁遠く、第88回大会を最後にもう14大会も出場していない。田所は「帝京がいない選手権は寂しい。また全国の舞台に戻って優勝し、自分を見て帝京に入ってくれる子が増えたらうれしいですね」とカナリア軍団の復活に心血を注ぐ覚悟だ。 (写真=河野正)