【朝うどん】今年のうちに食べ納めておきたいシリーズその1「横浜橋通商店街」の朝うどん:パリッコ『今週のハマりメシ』第165回
するとママが奥の扉から薄暗い隣の店らしきスペースに移動し、うどんを調理して持ってきてくれた。壁にある小窓から、カウンター酒場かバーのような雰囲気が見えるから、姉妹店で夜はそちらの営業がメインになったりするのかもしれない。 気取りのない食器一式に、かきあげののった素うどんと、刻みねぎ、あげだま。その整然と並ぶ感じが好ましい。 まずは木製のれんげでつゆをひと口すする。すると意外や意外。良いだしの香りと、関東ではあまり感じたことのない優しい甘さが口に広がる、どちらかと言うと関西風の味わいだ。はるか昔に京都駅近くの路麺店「てん狗」(残念ながら閉店)で朝に食べたうどんを思いだし、なんだか嬉しくなってしまう。 麺はどうということのない、たぶん市販品だと思うんだけど、これは悪口ではない。コシやら硬さやらを重視したいのはハレの日のうどんであって、僕が毎日でも食べたいのはこういううどんだ。 いんげんの食感と甘みが良いアクセントのかきあげもうまい。調理中、じゅわーっと音が聞こえていたということもないから、温め直したものの可能性が高いけど、横浜橋通商店街は個人経営のお惣菜店も多い商店街。もしかしたら、懇意にしている店から仕入れているのかもしれない。 基本のうどんについてくるねぎとあげだまを投入すると、これまたいい。特にあげだまがただものじゃなく、ものすごくコクがあって、サクサクと軽快な食感だ。ということは、かきあげと同じ店から仕入れいている? なんて、まったく違っていたら申し訳ないんだけど、想像しながら食べるのが楽しい。 はっきり言って、わざわざ遠方から食べに行くタイプではなくて、家の近所にあれば頻繁に通ってしまうだろうな、という店だ。と同時に、僕の理想にもっとも近いとも言えるうどん。 次回から、横浜旅行の朝はこの朝うどんからスタートするのが定番になりそうだ。あ、でも、すぐ近所には酔来丼の酔来軒もあるんだよな~。 横浜って、やっぱり楽しい街だ。 取材・文・撮影/パリッコ
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