世界的に珍しい黒こうじ菌で酒造り 沖縄の泡盛44酒造所で異なる風味
泡盛の特徴は「黒こうじ菌」を使って製造することにある。原料の米に黒こうじ菌を種付けして米こうじを造り、水と酵母を加えてもろみをアルコール発酵させて蒸留する。沖縄県酒造組合によると、酒造りに黒こうじ菌を使う地域は世界的に珍しく、黒こうじ菌だけを使ってきたのは沖縄だけとされる。 【イラスト】泡盛の製造工程 黒こうじ菌は酒の製造過程でクエン酸を大量に生成するため、もろみの酸度を高くすることができ、雑菌による腐敗を抑える。温暖で多湿な沖縄の気候風土に適しているという。 現在44の泡盛酒造所があるが、この黒こうじ菌や、米を水に漬ける浸漬方法、使用する酵母や熟成させる容器などによってつくり出される異なる風味が魅力だ。 近年、県酒造組合や各酒造所は、炭酸割りなど多様な飲み方を提案。カクテルベースの酒としても浸透を図っている。国や県とも連携して、訪日外国人客や海外市場などをターゲットとした高付加価値化の取り組みも進めているものの、ブランディングや魅力発信は道半ばだ。零細な酒造所も多く、44のうち約半数は赤字となっている。(政経部・大城大輔)