小林りんごを輩出した創設47年の卓球クラブ・宮古Jr. 「卓球以外の当たり前のことも大事に」小林みちる代表の思い
愛娘・小林りんごも推す“体力作り”
――関東学生リーグや全国でも活躍する小林りんご選手の原点が宮古Jr.ということですね。 小林みちるさん:私と主人、母の家族総出で卓球の指導に携わっていた関係で、どうしてもりんごが小さい時から練習に連れて行かなければなりませんでした。 上のお姉さんたちに可愛がられながら、よく練習していましたね。 ――りんご選手に事前にヒアリングしたところ「宮古Jr.の体力作りについては聞いた方が良い」と教えてくれました(笑)。 小林みちるさん:おそらく縄跳びのことですね(笑)。 練習時間が短いこともあり、ランニングの代わりに縄跳びをほぼ毎日行っています。 市内の小学校の縄跳び大会では、卓球クラブなのにいつも上位に食い込んでいて、卓球クラブなのか縄跳びクラブなのか分からないくらいです(笑)。 ――短い時間でも工夫して体力づくりを行うための縄跳びトレーニングですね。 小林みちるさん:3分間に何回跳べるか、という部分でスパルタに競い合っています。 りんごもレオも2人とも縄跳びが得意だったので、今の生徒たちにも「レオは500回くらい跳んでたよ」と言って発破を掛けています。卓球クラブなのに(笑)。
「卒業生が帰ってこれる場所として残していきたい」
――クラブにはどんな選手に入ってきてほしいですか? 小林みちるさん:卓球だけでなく、色々なトレーニングをやっているので、身体を動かしたい、運動能力を高めたい小学生のお子さんがいたらぜひ見学に来てください。 ちなみに運動に自信がない子も歓迎です。宮古Jr.で練習を重ねていけば体力はしっかりとついていくので。実際に縄跳びもできなかった子が、市内の大会で賞状をもらえるまでに成長した例もあります。 ――今後のチームの目標もお聞かせください。 小林みちるさん:宮古市も他の地域同様、子供の数が減少していて、団体戦を組むために中学生6人を集めること自体が難しい状況です。 でもやっぱり指導者として、全国中学校卓球大会の団体戦出場というのは大きな目標として掲げています。 ――これまで出場されていなかったとは意外でした。 小林みちるさん:歴代の女子で一番可能性のあるチームができたなと思ったタイミングで、東日本大震災が起きて、大会自体が中止になってしまいました。 そのときは震災の影響で、卓球も含めて1ヶ月何もできなくなって、子供たちは目標を見失ってしまったんですよね。 でもそのときに卓球メーカーや実業団、関東学連などが復興支援としてチームに訪れてくださり、強い選手と一緒にプレーしたり触れ合ったりできて、子供たちに元気が戻ったことは印象深かったですね。 ――長い歴史で様々な経験をされていますね。これからも歴史を積み上げていくかと思いますが、今後のチームとしての展望はどう考えていますでしょうか? 小林みちるさん:実は、私を含めて指導者は全員ボランティアなんです。年齢とともに体力面での不安も出てきているので、指導ができなくなった時のことは最近よく考えています。 ボランティアでやり続けてくれる人を探すことは、今の時代難しいかもしれませんが、50年近い歴史もあるので卒業生が帰ってこれる場所として、チームを残していきたいという思いがあります。 私は普段の練習で子供たちからもらうパワーが元気の源ですので、後継者も探しながら、まだまだ指導を続け、宮古Jr.での卓球を通して子供たちの成長を手助けしていきたいと思っています。
山下大志(ラリーズ編集長)