キャスチングボート握る国民、政策実現へ主導…野党との連携維持し与党に決断迫る
衆院選での与党の過半数割れを受け、キャスチングボートを握る国民民主党は、与党との交渉で政策実現を主導したい考えだ。野党との連携も維持して交渉力を強め、与党に決断を迫る構えだ。存在感を示し、来夏の参院選での躍進を目指す。
国民は1日、立憲民主党との間で幹事長・国会対策委員長会談を開き、政策協議の開始や党首会談の開催、政治改革での協力などで一致した。この日は公明党とも幹事長・国対委員長会談を行い、国民の看板政策である、年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の見直しに向け、協議することを確認した。
10月31日の自民党との幹事長・国対委員長会談では、政策面での連携で合意した。日本維新の会とも5日に幹事長・国対委員長会談を開き、国会運営などでの協力を話し合う予定だ。
国民の榛葉幹事長は1日の記者会見で、「野党が本気になって一致結束したら、内閣不信任決議案が可決する」と述べ、与党をけん制。「立民、公明、維新とも案件ごとに(協議を)やる」と語り、キャスチングボートを握る考えを示した。立民、維新とも引き続き関係構築を進め、内閣不信任案のカードをちらつかせることで、与党を突き上げる考えだ。
国民が与野党と幅広く協議に臨むのは、党が掲げる「手取りを増やす」ための政策を実現したいからだ。過半数を割った与党は政策決定のため、国民との関係を重視せざるを得なくなっている。
もっとも、国民は衆院での議席数は28と、第4党にとどまる。国民が政権に強い影響力を持つことに関し、自民内からは「正確に民意を反映できなくなる」(ベテラン)との声も出ている。