20年後、確実に勝ち越せる投資スタイルは「肉食派」か?「草食派」か?
初心者でも、忙しくても20年後に最大の成果を上げられるのは「草食派」投資
定時退社のできるサラリーマンだとしても、結構忙しいもので、マーケットを学びテクニカル分析を習得する時間を割くのも大変です。そこで多くの一般生活者は自分で勉強し努力することを割愛して、「今すぐ儲かる」本とか証券会社や銀行に勧めてもらうとか、他者に判断を求めようとしてしまうわけです。金融機関の言いなりで投資行動を決めるなど愚の骨頂であり、自分の頭で考え判断することをしない人がマーケットで勝負に勝てるはずがないと断言できましょう。 金融市場は機関投資家とYさんの如きプロ筋の個人トレーダーも含め、職業人としてのプロ同士がメインプレーヤーとしてしのぎを削っています。そこにサラリーマンが本業のにわか個人投資家が参加するということは、プロゴルファーのトーナメントにサンデーゴルファーが混じって予選通過を目指すようなもので、無謀なチャレンジなのです。サンデーゴルファーでも時折ナイスショットは出るし、バーディーだって取ることもありますが、決してそれを継続できないでしょう。プロとは、常にナイスショットの再現性を高いレベルで目指す競争の世界であり、素人の勝ち目は極めて薄いのです。 だとすれば、投資において一般生活者がリターンを積み上げる最も合理的なアプローチが「投資信託」の活用です。それもマーケットの値動きを予測して勝負することをしない「積立投資」で心安らかにコツコツと投資資金を積み上げて、相場での勝負で負ける確率を圧倒的に減らし、合理的に資産形成が叶う行動を選択すべきでしょう。 今年から始まった「つみたてNISA」は投資対象となる投資信託の商品選択まで金融庁が厳しく制約して囲い込んでいる、一般生活者が投資を始めるのに最適な制度です。「つみたてNISA」は端から相場とは勝負せず、素直にこの仕組みに則って行動を続けた人が等しく相応の成果を得られる制度です。何ら根拠のない自信で「俺は相場に勝てる」と思い込んでギラギラガツガツ投資をやめられない人たちに対して、自らを客観視できる素直で謙虚な人たちが20年後には最大の成果を獲得できることになるのでしょう。 (セゾン投信株式会社 代表取締役 中野晴啓) セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。06年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。