横浜DeNAのドラ1、今永が山田、バレ斬りで開幕ローテをグイッ!
横浜DeNAのドラフト1位、今永昇太(22、駒大)が2日、横浜スタジアムで行われたヤクルトとのオープン戦に先発、5回を投げ、わずか1安打無失点。トリプルスリー、山田哲人(23)、バレンティン(31)からスイングアウトの三振を奪い、対外試合の連続無失点イニングを12に伸ばして、開幕ローテーション入りを引き寄せた。昨季、先発で2桁勝利と規定投球回数をクリアした投手が一人もいない弱投手陣に救世左腕が現れた。
逃げない。 一回二死走者無しで打席に、トリプルスリーの山田を迎え、横浜DeNAのドラ1のルーキーは「内側に強いボールを投げないと勝負できない。まだ僕はルーキー。失うものもない」という心境だったという。 フルカウントから148キロのストレート。高めに浮いたが、山田のフルスイングしたバットは空を切った。注目すべきは、そのひとつ前のボールである。ボール3-1から、インコースギリギリにスライダーを投げ込み、カウントを整えたのである。 元ヤクルトの名スカウトだった片岡宏雄氏が、「ここぞという状況でストライクを取れるか、どういうボールを投げるかがプロで成功するための重要なポイントだが、今永はそういう場面で投げきることのできるピッチャー。肩さえ治っているなら最も通用するピッチャーじゃないか」と、駒大時代の今永を評価していたが、ストライクが欲しい局面で示した変化球の制球力は、プロで成功する条件を満たしたものだった。 圧巻は、4回一死走者無しで巡ってきた山田との二度目の対戦。今度の勝負球も、インローのストレート。同じくルーキーである戸柱恭孝(25、NTT西日本)の構えたミットを目掛けたボールを、山田は引っ掛けて三塁ゴロに倒れた。続くバレンティンは、最初の打席は歩かせていたが、追い込んでおいて最後は見事なチェンジップ。タイミングを外されたバレンティンはスイングアウトに倒れた。 三回には、先頭の大引啓次(31)にセンターオーバーの二塁打を許したが、そのピンチを失点につなげずに後続を抑えた。予定の5回を65球でまとめた。試合後、今永は、「真っ直ぐが高めに浮いていた。戸柱さんのリードもあって、そこを変化球でカバーできた。これまで対戦した韓国のチームに比べると、日本のチームは、狙い球をしぼってくるので、どれだけストライク先行でいけるかをテーマにしていた。そこは6、7割はできたと思う」と冷静に振り返った。 ラミレス監督も、「今永は良かった。ストレートは148キロ出ていたし、内、外で投げ分けることができていた」と合格点を与えた。 フォームにはそれほどの力感はないが、下半身のタイミングに比べて、腕の振りとボールのキレがいいので、打者が戸惑う。持ち球は、スライダー、カーブ、チェンジアップで、フォーク系の縦に鋭く落ちる球種はないが、チェンジアップで十分に代用がきき、変化球のすべてでストライクが取れるのが実戦向き。いわゆるプレートさばきがいいのだ。