阪神・豊田寛、プロ初ヒット&一挙4点火つけ二塁打 貧打救うのは27歳・3年目苦労人
(日本生命セ・パ交流戦、オリックス0-5阪神、阪神1勝2敗、3回戦、13日、京セラ)阪神は連敗を2で止めた。「7番・左翼」で2年ぶりにスタメン出場した豊田寛外野手(27)がプロ初安打を放つなど、3打数2安打をマーク。2試合連続で零封負けしていた打線を勢いづかせた。社会人から即戦力で入団して3年目。コツコツ努力してきた男が大きな一歩を踏み出した。 【写真】プロ初安打を放ちガッツポーズする阪神・豊田寛 待ち望んだ救世主がやってきた。執念でともしたプロ初の「H」ランプが猛虎打線をよみがえらせる。こぼした白球と、募らせた悔しさを取り返し、豊田が京セラで誰よりも輝きを放った。 「本当にホッとしているのが第一で、やっとプロ野球(人生)が始まったなという気持ちです」 7日に今季初昇格した男に千載一遇の好機が巡ってきた。「7番・左翼」で2022年4月20日のDeNA戦(横浜)以来のスタメン起用。ファーストプレーはまさかの試練。一回の守備、先頭・来田の打球を体で抱え込むも落球し、失策を記録してしまう。 「守備はもう緊張…ずっとしていました。やべえみたいな感じで。でも、西(勇)さんも梅野さんも『思い切ってやれ』という風に声をかけてもらったのでそのまま打席に向かえました」 その後、1死一、二塁となったが、西川の遊直で二走・来田が戻れず。併殺で無得点に抑えてくれた直後、二回2死一塁の第1打席。田嶋のフォークに食らいついた。右前打は11打席目で刻んだプロ初ヒット。続く四回1死一塁の第2打席。今度は直球を思い切り引っ張った。左翼フェンス直撃の二塁打で一挙4得点の先制劇を演出。2試合連続零封負けと眠っていた打線の起爆剤となり、「1打席目がずっと2軍でやってきた形のヒット。本当にいい形だったのでそのあとにつながった」と胸を張った。 22年ドラフト6位で日立製作所から入団。同年に1軍初出場を果たすも、すぐにプロの壁にぶつかった。「1軍投手の強い球に振り負けないようにしないと生き残れない」。しかし、待てど暮らせど次のチャンスが来ない。東海大相模高の3学年後輩の森下が同じ外野の定位置を奪うなか、27歳を迎えた今年4月も豊田は鳴尾浜にいた。 「最後のチャンスだと思って。1年目のときよりも、1軍にかける思いは全然違いますね」