物価高で大変! 退社後にパートを始めたいのですが、副業すると社会保険料は増えますか?
大きな話題になっている、社会保険に関する年収の壁。副業で収入が増えた時は合算で判断されるのでしょうか? また手続きはどうなるのでしょうか? FPが解説します。
社会保険料の有無は働き方で異なる
社会保険といっても、働き方によって適用される種類や数が異なります。ここでは、会社員や、社会保険加入の適用要件を満たすパート・アルバイト(※1)が加入する「健康保険」と「厚生年金保険」を中心に説明します。 本業と副業を、それぞれ会社員と自営業・個人事業主の場合で組み合わせると、次のようになります。 図表1
ケース1では、副業先でも社会保険加入となるため二重加入となり、社会保険料も増えます。もし、副業先で社会保険加入の適用要件を満たさなければ、社会保険料に影響はありません。 ケース2のように、会社員が執筆やフードデリバリーの仕事、フリーマーケットの出品等の副業で事業所得や雑所得などの収入を得ても、新たに社会保険料は発生せず、本業の社会保険料のみとなります。 ケース3は、本業の所得が社会保険料の算定からはずれます。ケース2の本業と副業が入れ替わった形です。保険料の事業主負担分が生じることで負担が軽減することもあります。仮に副業先が社会保険の適用要件に満たない場合、副業先に社会保険加入は移らず、ケース4と同様に合算した所得に応じ自営業としての国民健康保険料が増えます。
本業と副業それぞれで判断する
では、ケース1で本業・副業ともに社会保険加入の要件を満たさない「本業×/副業×」の場合でも、合算して要件を満たす(壁を超える)場合は加入になるのでしょうか? この場合、適用要件は「事業所ごとに判断する」ため加入対象外です。複数の事業所で勤務する場合に、どちらの事業所でも適用要件を満たさない場合は、たとえ合算して適用要件を満たしたとしても適用せず、よって保険料も発生しません(※2)。 「1週間の所定勤務時間が20時間以上」の要件を例にすると、次のとおりです。 図表2