<春に輝け>東海大相模の挑戦’20センバツ/上 成長を見せる場に 悔しさ糧に切れ目ない打線へ /神奈川
東海大相模のセンバツ出場が決まった24日、歓喜に沸く部員らの中で、チームの4番・西川僚祐選手(2年)は仲間と一緒にガッツポーズを繰り返した。「どんどんつなげて点を取る。自分たちの成長を見せる場にしたい」。甲子園へ向けた決意の背景には、昨秋の関東地区大会で味わった苦い経験がある。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ◇ ◇ 昨年10月の関東大会準決勝、相手は健大高崎(群馬)だった。九回表1死で塁上に走者はなく、6点差を追いかけるチームは窮地に追い込まれていた。「なんとか出塁を」。打席に立った西川選手は必死に食らいついたが、打球はセンター方向のフライに。後続も得点できずゲームセット。無安打に終わり、ベンチに戻るその表情は、悔しさでいっぱいだった。 東海大相模は関東大会の前に行われた県大会を圧倒的な強さで制した。6試合で66得点を奪い、相手チームに一度もリードを許さなかった。関東大会では1回戦の駿台甲府(山梨)に対して初回から9得点し、14―2でコールド勝ち。準々決勝の習志野(千葉)戦は試合中盤で逆転に成功。終わってみれば12点を挙げていた。その中心にいた西川選手は振り返る。「打って勝ってきた」 準決勝は一転、別のチームになったかのように打線がつながらなかった。初回に先制したものの、相手投手の低めのスライダーを捉えられず、6安打2得点に抑えられ、逆転負けした。秋に本格始動した新チームは準々決勝までの公式戦8試合中5試合が2桁得点。初めて経験する試合展開だった。 リードオフマン・鵜沼魁斗選手(同)はチームの打線を「自分たちの調子のいいときには爆発する」と評する。しかし好調を持続し、個々の力で得点を挙げてきたことで、選手から「つなぐ」という意識が薄れていた。 ◇ ◇ 課題の見つかったチームの打撃に、西川選手らは一つの目標を立てた。「1番から9番まで切れ目のない打線」。誰が打席に立ってもチャンスを作り、チャンスでランナーを還す。チームのスローガン「アグレッシブベースボール」にふさわしい、相手投手に余裕を与えない打線だ。選手たちは目標に近づこうと、バットを振り続けた。 試合終盤の勝負強さを鍛えるため、レギュラーチームが負けている想定を立て、3イニング限定の紅白戦も行っている。攻撃回数が限られる中で逆転しなければならない。追い詰められた場面が作り出される。選手たちが出す声にも熱がこもり、打席では出塁や得点へのこだわりが強くなる。その姿は、門馬敬治監督の思いとも通じる。「押し切る力をつけてほしい」 選手らのスイングスピードは格段に上がった。それでも、西川選手は「まだ攻めきれない時がある。甲子園まであと2カ月を切る中、苦しい場面を何度も繰り返していかなければならない」と話す。一球にこだわり、粘り強く得点する意識は確実にチームに定着しつつある。【池田直】