野尻智紀がモータースポーツをもっと広めたいと考える理由「チャンピオンを獲っても何もなかった……でも好きなんですよ、レースが!」
スーパーフォーミュラやスーパーGTで活躍する野尻智紀。彼はここ最近、発言にしても、ソーシャルメディアなどでの発信にしても、もっとモータースポーツを広めたいという想いが感じられる。イベントへの出席についてもそうだ。そんな野尻に、その背景を尋ねた。 【動画】2度のスーパーフォーミュラ王者、野尻智紀が2021年のF1を戦ったレッドブル・ホンダRB16Bをドライブ「すごく興奮した!」 野尻はフォーミュラE東京E-Prixの翌日に同じ東京ビッグサイトで行なわれたE-Tokyo Festivalに来場。メインステージで行なわれたeモータースポーツリーグ”UNIZONE”の特別戦に出場した。 野尻はこのUNIZONEに参戦する理由のひとつに、多くの人たちにモータースポーツの魅力を伝えたいという想いがあると明かしてくれた。 ここ数年の野尻は、以前にも増してこの”モータースポーツの魅力を広く伝えよう”という姿勢が特に強まっているドライバーのひとりであるように見える。何がそうさせたのか? 野尻は次のように説明する。 「根本にあるのは、チャンピオンを獲っても、何もなかったということです」 そう野尻は言う。 「もちろん、色々な方と交流できたり、人脈は広がりました。でもひとりの選手としては、もっともっと注目される存在じゃなきゃいけない……チャンピオンになったら、もっと注目される未来じゃないと、この先の選手たちも苦しい思いをするんじゃないかなということを思ったんです」 「今のままでいいわけがないと思ったのが、ひとつのきっかけでした」 それを実現するためには、レースを観たことがない人に、もっと近くで触れられるきっかけを作っていかなければいけないと、野尻は考えている。 「見せるということが大事だと思うんです。それを考えると、サーキットに足を運んでもらうのって、すごくハードルの高いことだと思います。その手前で知ってもらうことが、すごく大事なのではないかと思います」 「今回公道でレース(フォーミュラE東京ePrix)をやりましたけど、公道でのデモランでもなんでも、もっと近くで知ってもらう企画ができるかもしれないので、そういうのをどんどんやりたいですね。モータースポーツはどんどん外に出ていかなきゃいけないし、そういう機会をたくさんの人に協力していただいて作ってもらえると、ドライバーたちはすごく幸せだなと思います」 野尻はモータースポーツが大好きなのだという。その想いが、彼を後押ししているのだ。 「モータースポーツって、面白いですよ。やってても面白いですし、観ている人にも面白いと言ってもらえることもある。でもなんでこんな状況なんだろうっていうのが、モータースポーツ好きのひとりとしては思うところです。こういうことを言うと、偉そうに……って言われてしまうかもしれませんが」 「でもね、好きなんですよ、レースが。そこが一番です。僕は選手なんで、一番になって帰ってきた時に、大の大人が声を上げてピットの中ではしゃぐなんて……そんな瞬間があるのが魅力のひとつだと思います」
田中健一
【関連記事】
- ■野尻智紀、F1ドライブに「緊張を忘れるくらい、すごく興奮した」スーパーフォーミュラの”近さ”も実感
- ■空気と水さえあれば、ガソリンと同じような燃料が作れる……ホンダF1で加速する、未来への技術”カーボンニュートラル燃料”の開発
- 【相撲から見たF1の世界】人気を高めるために重要な”きっかけ”:力士俳優の田代良徳と澤田賢澄に訊く……日本GP前イベントでフェルスタッペンや角田裕毅らと共演
- ■世界中人気沸騰のF1……しかしドイツで盛り上がらない理由は? ヒュルケンベルグ「地球環境の変動は自動車のせいというイメージがある」
- ■”今の”MotoGPがF1より人気が無いのは不思議? 「F1は見てて退屈じゃん」と現役ライダー