しょっちゅう遅れる!? ── 阪和線・着々と進む「輸送品質向上計画」
「JR阪和線はしょっちゅう遅れる」という"都市伝説"がある。確かに、周りの阪和線ユーザーは非常にしばしば「今日も電車が遅れた」と言っている気がするし、ツイッターなどでも「また阪和線遅延……」というつぶやきをよく見る気がする。実際のところどうなのか、なぜそんな都市伝説が生まれたのか。調べてみると、阪和線にも色々と事情があるそうで。だが、そんな中、ただ手をこまねいているだけではなく、運行管理システムの更新など、様々な取り組みをしているという。
天王寺駅で大半の列車が折り返し
大阪府の天王寺駅と和歌山県の和歌山駅を結ぶ、JR阪和線。大阪府南部の各都市を結び、通勤・通学輸送はもちろん、関西国際空港への足、また南紀白浜や新宮方面への観光の足としても重要な役割を担っている。 JR西日本によると、利用客の多さを表す「輸送密度」は大阪環状線・東海道線・JR東西線に次いでJR西日本管内で第4位。利用客の多い日根野以北に限ると、JR東西線を抜いて第3位だそうだ。 利用客が多いということは、走っている列車の数も当然多い。昼間でも、天王寺駅からは普通4本、快速・区間快速8本、特急2本の合計14本が走っている。大阪環状線の弁天町方面行き(毎時14本)や、大阪市営地下鉄御堂筋線の梅田方面行き(毎時15本)とほぼ同数だ。ラッシュ時の8時台には、なんと20本もの列車が天王寺駅へ到着する。 列車の本数が多いと、ダイヤに余裕がなくなる。1本の列車で乗降に時間がかかって遅れると、その後ろの列車はなかなか遅れを回復することができないのだ。阪和線は、利用客が一番多い天王寺駅で大半の列車が折り返すため、どうしてもそのための作業に時間がかかり、ここで遅れを取り戻すことも難しい。 また阪和線は複線なので、普通列車と特急列車が同じ線路上を走っていて、限られた場所でしか追い抜くことができない。
他路線との乗り入れが多い
さらに、例えば駅で人身事故が起こると、その方面へ向かうすべての列車が止まってしまう。片道1車線の道路でノロノロ運転の車が走っていたり、事故が起こるととたんに大渋滞が発生するのと同じだ。これが複々線のJR京都線では、そもそもダイヤに若干の余裕があり、普通列車が遅れていても新快速は影響をうけにくい。 また事故の場合も影響のないもう1線を使って、運行を再開することも可能となる。阪和線ユーザーの間でよく言われる「朝ラッシュの遅れを昼過ぎまで引きずる」というのは、こういった理由からだ。 阪和線にとってもう一つ不利なのは、他路線との乗り入れが多いこと。例えば、関空・紀州路快速は大阪環状線から乗り入れてくるし、関空特急「はるか」はJR京都線へも乗り入れる。阪和線では何のトラブルも起きてないのに、JR京都線のトラブルで「はるか」が遅れ、その影響で阪和線も遅れるという、"もらい事故"のようなケースも少なくないのだ。