1974年アルファロメオ・スパイダーのレストアに着手|『Octane』UKスタッフの愛車日記
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、1974年アルファロメオ・スパイダーを衝動買いしたエヴァンが、車両の「やることリスト」に着手した話だ。 【画像】アルファロメオ・スパイダーのエンジンルームの作業に着手(写真5点) ーーーーー 火曜日の朝、私たちはLAにあるベニーの店の作業場にいた。私の“新しい”アルファ・スパイダーの作業に取りかかる前に、ドーナツを食べたところだ。今日は、汚れた服を着ている。それもそのはず、この店は毎日が“汚れた服の日”だからだ。やることリストの最初の作業は、エンジンを取り出すこと。金曜日までに、このイタリア車をボディショップに届けることが目標だ。 まず、クーラントを抜き、ベルハウジング、スターター、バッテリー、スピカ製インジェクション、エグゾースト・マニホールド、モーターマウントなどのすべてのボルトを外す。始めてしまえば、そんなに時間はかからない。写真を見ると、ベニーがすべての作業をしている(つまり私は何もしていない)ように見えると思うが、それは違う。誰かが撮影をしなければならないのだから… 昼前には、吊り上げられたエンジンは作業台に載せられ、私はエンジンブロックやタイミングカバーなどを磨き始めた。 車の整備作業は、食べ物を中心に展開していく。この時点で、話し合いはこんな感じで進む。「ランチは何にしようか?」。私たちはサンドイッチを買ってきて、車のそばで食べながら「これからどうする?」について話し合う。昼食後、私はヘッドを機械工場に持って行き、ベニーはエンジンの分解を始め、私はクリーニングを続けた。 バルブカバーを外した状態でエンジンの上死点(Top Dead Center)を確認、カムタイミングをチェックする。これで、この車にパワーがなかった理由がわかる。カムが8分の1インチずれていた。これが、3000rpm回転を超えない理由だった。さらに深く進めていくと、ピストンとライナーは新品であることがわかった。ライナーには工場での研磨加工の跡が残っていたし、ベアリングは磨耗していなかった。作業が完了すれば、これは素晴らしい小型エンジンになるだろう。 エンジンルームを洗浄してみると、50年前のアルファにしては錆ひとつなく、ゆがみも無いことがすぐにわかった。前後のバンパー、ヘッドライト、サイドマーカー、テールライト、ドアハンドル、ドアパネル、エクステリアのトリムを外していく…。これらの作業で、午後の残り時間を費やしてしまった。 木曜日にボディショップの担当者に電話したが、応答なし。金曜日にまた電話してみた。 また出ない。こんなことで大丈夫なのだろうか?と不安になってきた。この車があの店に、このまま半年も置きざりにされる様子が目に浮かぶ。 仕方なく他の業者2件に電話してみたが、見積金額はあまりに高く、そのうえ、「車全体をサンドブラストするつもりだ」などと言われる始末だった。 月曜の朝、電話が鳴った。ボディショップのグスタヴォからだった。彼は、この4日間体調を崩して家にいたそうだ。その日のうちにアルファロメオを持ち込むように言ってきた。 そして、グスタヴォのところに私のアルファを預けて、数日が経つ。彼は部品を注文し、車の分解作業を始めた。ノーズ部のとても小さな隆起を除けば、オリジナルの錆のない金属部がすべて残っていることが分かった。今、私はパーツリストを作っている。“クラシック・アルファ”に電話してすべて取り寄せてもらうつもりだ。クラシック・アルファは値段も安く、DHLで発送してくれるので、とてもありがたい。ここアメリカにいても、ほぼ翌日に届くのだ。 ボディショップには、車の分解作業が完了したら、ちゃんとした写真を撮るためにストロボ付きカメラを持っていくからね、と伝えておいた。その日は汚れた服ではなく、素敵な服を着るように言ってある。 文:Evan Klein
Octane Japan 編集部