「過去5年で倒産が最多」「10年間で8000店近く減少」のゲーセン。大量閉店の背後にある”本質的な変容”とは?
学校の帰り道、ゲーセンに寄って、友達とだらだらした経験のある人はいるだろうか? 【画像】苦境のゲーセン業界。大手でも国内はジワジワ減少、久しぶりの海外出店も実態をグラフなどで詳しく見る(5枚) 筆者も中高時代、そんな経験をした一人だ。音ゲーが好きな友人がいて、「maimai」というゲームをずっとやっているのを、横で見ていた。特に私はお金を使うわけではなく、そこで友人とだべりながら、だらっとしていた。たまにやるのはアーケードのシューティングゲームで、「ハウス・オブ・ザ・デッド」をよくやっていた気がする。 ただ、お金がたくさんあるわけではなかったから、2プレイぐらいして、それで帰る。思えば、1000円かからないぐらいで、だらっといられる、「せんべろ」ならぬ「せんだら」的な使い方をしていたなあ、と思う。
でも、そんな、ゲーセンは、もう戻ってこないのかもしれない。実は、ゲーセンの倒産が相次ぎ、業界全体が苦境に立たされているのだ。 なぜ、ゲーセンは苦しいのか? 筆者は、それを、まさに今ここで書いたような「だらだらする空間としてのゲーセン」という視点から考えてみたい。つまり、「せんだら」的魅力の減少、という観点だ。 ■先行き不安なゲームセンター業界 まず、前提として、今、ゲーセンがどのような状況にあるのかを見てみよう。
帝国データバンクが4月7日に発表したデータによれば、ゲームセンターの倒産が過去5年で最多となったという。2年連続で倒産数は増加している。ゲームセンターの店舗数自体、10年間で8000店近く減少しており、直近5年間では3割減だ。 【画像】苦境のゲーセン業界。大手でも国内はジワジワ減少、久しぶりの海外出店も…実態をグラフなどで詳しく見る(5枚) 一方で、倒産しているのは、中小のゲームセンターだ、という話もある。たしかに、昨今ではゲーセンと言えば、ショッピングモールなどに展開する大型チェーン店が浮かぶ。床面積はこちらのほうが大きいわけで、そういう意味では「二極化」と言ってもよさそうに感じられる。