【天皇賞(春)】4連覇を達成した「平成の盾男」武豊騎手 淀の長距離GⅠの「記録」を振り返る
取引価格わずか682万のヒシミラクル
今週は天皇賞(春)が開催される。大阪杯では2022年の千葉サラブレッドセールにて4851万円で取引されたベラジオオペラが勝利したことで話題を集めたが、天皇賞(春)で3年連続2着のディープボンドもまた、2018年の北海道セレクションセールにて1782万円で取引されている"セリ出身"の1頭だ。 【天皇賞(春)2024 推奨馬】勝率50%データにただ一頭該当、加速力生かせる京都コースで能力全開! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 他にも、2019年のセレクトセールにて7992万円で取引されたチャックネイトや2020年同セールにて2200万で取引されたワープスピードなど、様々な市場取引馬たちが長距離王者を目指して集まった。ここでは天皇賞(春)に関する記録を1986年以降のデータを参照して振り返る。 天皇賞(春)で馬券圏内に食い込んだ馬の中で、3番目に国内セリの取引価格が低かったのは、2004年の覇者イングランディーレ。1999年セレクトセールにて1375万円で取引された同馬は、10番人気という低評価をひっくり返して勝利した。 過去、ダイヤモンドSや日経賞など芝重賞の勝利もあったイングランディーレだったが、その後はダート路線にシフトしていた。また、近6走のうち5戦がダート戦で、交流重賞2勝と結果も出していた。そしてダイオライト記念2着から挑んだ天皇賞(春)で、初めて鞍上に迎えた横山典弘騎手とともに見事な逃げ切り勝ちを収めたのであった。 2番目に国内セリの取引価格が低かったのは、2000、01年の覇者テイエムオペラオー。1997年の北海道10月市場にて1050万円で取引された。同馬の初勝利は3歳2月のダート1800m戦(当時の表記では4歳)。そこで2着に5馬身差をつけ快勝すると、2月末のゆきやなぎ賞(現1勝クラス)で芝レースも勝利。以降は毎日杯、皐月賞と連勝し、一気にスターダムを駆け上がった。 その後は5連敗を喫したものの、古馬になって素質が完全開花。2000年は年間8戦無敗と完璧な戦績を残した。うち、5勝がGⅠ競走だったが、その始まりが天皇賞(春)だった。翌年は始動戦の大阪杯(当時はGⅡ)で4着に敗れ、連勝こそストップしたものの、続く天皇賞(春)では意地を見せ連覇を達成した。それが「世紀末覇王」の最後のGⅠ勝利でもあった。 最も国内セリの取引価格が低かったのは、2003年の勝ち馬ヒシミラクル。2001年の北海道5月トレーニングセールにて682万円で取引された。ヒシミラクルはデビューから9連敗を喫したが、3歳5月に初勝利をあげるとそこから徐々に才能を見せ始め、10月には菊花賞に挑戦。1番人気ノーリーズンが落馬中止となるなか、10番人気の伏兵評価を覆し勝利。2着ファストタテヤマ(16番人気)との馬連は960.7倍となる波乱を巻き起こした。 以降は3連敗、うち2回が二桁着順と良いところがなかったヒシミラクルは天皇賞(春)に挑戦。前年の菊花賞馬ながら7番人気と評価が低いなかで勝利をあげ、馬連はまたしても万馬券となった。続く宝塚記念でも6番人気ながら勝利し、馬連は万馬券。『二度あることは三度ある』を体現してみせた。