「ミミ萩原」「JBエンジェルス」「北斗晶」…大人気「極悪女王」に登場しなかったレジェンド女子レスラーたちの今
見どころに込められた製作陣のこだわり
配信から1カ月が経ったNetflix(ネトフリ)のオリジナルシリーズ「極悪女王」が相変わらず話題を集めている。「全日本女子プロレス(全女)」に入門したダンプ松本(63)が、悪役レスラーとして戦っていく過程でさまざまな葛藤を抱えながら、1980年代に女子プロレス旋風を巻き起こし、史上最強のヒールに成り上がるさまを描く。タイトルの「極悪女王」とは、ダンプ松本の愛称だ。 【写真】引退後、最も成功したレジェンドレスラー。そして「極悪女王」に登場した、全日本女子プロレスブームを支えたレスラーと、演じた女優たち
ダンプ役をお笑いタレントのゆりやんレトリィバァ(33)が演じ、ダンプと抗争を繰り広げた人気タッグチーム、クラッシュ・ギャルズの長与千種(59)を唐田えりか(27)、ライオネス飛鳥(61)を剛力彩芽(32)が、そしてオーディションで役をゲットしたレスラー役のキャストたちは、約2年にわたるプロレスのトレーニングと肉体改造を経て当時の全女のリングを再現している。ともに当時の全女ファンだった企画・脚本・プロデュースの鈴木おさむ氏と、白石和彌総監督のこだわりが随所にうかがえるという。 「女子プロで最初にスターとなった『ビューティペア』の故ジャッキー佐藤さんとマキ上田 。次世代のジャガー横田、デビル雅美。ダンプやクラッシュと同期の80年(昭和55年)入門の、いわゆる“55年組”の大森ゆかり、クレーン・ユウ。そしてダンプ率いる『極悪同盟』に加入し、後に全女のエースになるブル中野や外国人レスラー、さらには、創業家の松永家一族らが実名で登場していますが、当時のファンのみならず、ダンプや全女を知らない若い視聴者も取り込んでいます。今年の『新語・流行語大賞』に『極悪女王』が選ばれるのでは、と思えるほどの人気ぶりです」(映画業界関係者) 作中で見どころの一つになっているのが、1985年8月28日に大阪城ホールで行われたダンプと長与の「敗者髪切デスマッチ」だ。勝敗は3カウントによるフォール、ギブアップ、ノックアウト、ドクターストップ、レフェリーストップのみで決定するという“完全決着ルール”。おまけに負けた方が、“女の命”でもある髪の毛を切る、というよりバリカンで丸刈りにされるという、前代未聞の過酷なルールだったが、この試合も驚異の再現度だった。 「連日、リング上で火花を散らし、徐々に互いに対する憎悪を募らせていた2人だからこそ実現した試合です。中継していたうちの局としては、長与さんが快勝するところを視聴者に届けたかったのですが、ダンプさんが反則の限りを尽くしてノックアウト勝ちとなりました。『極悪女王』では、唐田さんが地毛を丸刈りにされ、ダンプさんのセコンド陣が長与さんをイスに押さえつけて丸刈りにするところまでしっかり再現されていました。あまりにも凄惨な試合だったため、当時は抗議電話が鳴り止まず。結局、系列のカンテレ(関西テレビ)は全女中継の打ち切りを決めたほどでした。とはいえ、あそこまで視聴者を興奮させるコンテンツは、あの頃はありませんでしたよ」(当時を知るフジテレビ関係者)