文科相が是正要求……教科書採択はどうなっている?
下村博文文部科学相は3月14日、沖縄県竹富町教育委員会に対し、教科書無償措置法に違反しているとして、地方自治法に基づく是正要求を行いました。それに対し、竹富町教委は教科書変更には応じない方針を決めたと報じられています。国が市町村に直接要求するのは初めてのこと。そもそも教科書はどのように決められているのでしょうか。
政権交代で対応方針変わる
始まりは民主連立政権下の2011年8月でした。次年度に採択する教科書を決める八重山採択地区協議会の場で、中学校公民科について構成3市町のうち育鵬社「中学社会 新しいみんなの公民」を推す石垣市・与那国町側と、東京書籍(東書)の「新しい社会 公民」を推す竹富町側が対立。協議会としては育鵬社版の採択を答申しましたが、竹富町教委はこれに反して東書版の採択を決めました。 その後、協議会役員会の再協議を経て、3市町の全教育委員による議論では東書版を選定することを多数決で可決しましたが、石垣市・与那国町の両教育長は、この決定が無効だとする文書を文部科学省に提出。文科省は最初の答申を有効とし、9月に沖縄県教委に対して竹富町を指導するよう文書で指導しました。 ただし、竹富町に関しては国が教科書を無償給与できないものの、自治体が教科書を購入して生徒に無償で給与することまでは法令上禁止されていない、という見解を衆院文教科学委員会で示し、沖縄県教委にも同じ内容を文書で通知。12年4月、竹富町教委は寄付で購入した23冊(約1万7千円)を町内の生徒に配布しました。 その年の末の総選挙で自民・公明両党が政権を取り戻し、第2次安倍内閣が誕生すると、方針は一転します。13年3月、下村文科相は義家弘介政務官(当時)を派遣して協議会答申通り育鵬社版の採択が行われるよう沖縄県教委と竹富町教委を直接指導し、4月にも文書で指導。10月には地方自治法上の是正要求を沖縄県教委に対して行いましたが、同県教委が竹富町教委に是正要求を行わなかったため今回、国が県を飛び越えて町を直接指導するに至りました。