名古屋・町工場職人技と舞台芸術が融合 準備進む『月灯りの移動劇場』上演
モノづくりに新しい価値創造へ 地域の職人技伝承も狙い
気軽に芸術を楽しんでもらうという目的のほかにも、中川運河周辺で続くモノづくりの技術伝承という狙いもある。中川運河は、製造業が盛んな同地域の物流を昭和初期から支えてきた。しかし、道路網の整備などで自動車物流などが主流になると、1964年をピークに水運利用が減少。取扱貨物量はピーク時の2%にまで激減した。ところが、製造業など多くの企業は現在も同地域に存在し、小規模な町工場もモノづくりを支える。 浅井さんはこの地域で生まれ育ったため、友人に町工場の2代目も多くいる。実際、今回のプロジェクトで使う舞台美術品の制作には、友人らが協力。長年使う家具のような仕上がりで、職人技が光る。
プロジェクトでは木製玩具を制作するワークショップも開催し、子どもたちにモノづくりを体験してもらう取り組みもする。浅井さんは「職人が中川運河の周辺には多くいる。その技を舞台芸術と融合させて、多くの人に知ってもらうことで、この地域のモノづくりに新しい価値を作りたい」と、プロジェクト効果の広がりを期待する。 (斉藤理/MOTIVA)