「最高の補強」に成功した群馬…公開入団会見で明かした優勝への3つのポイント
群馬クレインサンダーズは9月7日、オープンハウスアリーナ太田にてファンを前に公開入団会見を実施。同日に行われたサンロッカーズ渋谷とのプレシーズンマッチ開催前に、新たにチームで指揮を執るカイル・ミリングヘッドコーチや新加入選手をはじめ、新キャプテンに就任した辻直人もサプライズ登場しファンへ元気な姿を見せた。 群馬は2023年4月に「オプアリ」ことオープンハウスアリーナが完成した。新たな本拠地には毎試合のように多くのファンが足を運び、2023-24シーズンの平均入場者数は5244名。琉球ゴールデンキングス(7746名)、アルバルク東京(6012名)に次ぐリーグ3位の数字となり、阿久澤毅代表取締役社長はファンへ感謝の言葉を述べ、「日本一への準備が整いつつある」とコメントした。 しかし、成績に目を向けると、昨シーズンは31勝29勝で東地区4位。B1に昇格して3シーズンを過ごしたが、未だチャンピオンシップの舞台には立てずにいる。豊富な戦力をそろえながらも目標に届かなかった昨季の課題を踏まえ、吉田真太郎ゼネラルマネージャーは「ディフェンス力、リバウンド力、3ポイントシュート力の3項目を軸にしました」と、新戦力獲得と強化のポイントを明かした。 舵取り役を託されたミリングHCは、「今シーズンこの場所に来ることができてすごくうれしく思っています」とファンへあいさつ。「自分たちのゴールにたどり着くためには皆さんの応援が必要不可欠です。今シーズンもたくさんアリーナに来ていただいて、引き続きサポートしてください」とメッセージを送り、プレシーズン後の会見では次のように今後を見据えた。 「強度の高いディフェンスをし続けて、リバウンドも頑張るディフェンシブなチームにしていきたいという思いはあります。けれど、これから選手一人ひとりの特徴を見ていかなければいけません。まずは各選手の良い部分を最大限発揮できるよう、一つひとつのプロセスを積み重ねていくことを意識していきたい」 今シーズンの新加入選手は藤井祐眞、マシュー・アキノ、細川一輝、ヨハネス・ティーマンの4名。いずれも即戦力として期待がかかる実力者が並び、真新しいユニフォーム姿を披露した。 自身初の移籍となった藤井は、「まだ映像でしか見たことないんですけど、シュートが決まった時の“ファイヤー”(炎の演出)をたくさん上げられるように頑張りたい」と述べ、会見の終盤では「言い忘れましたけど、移籍の一番の決め手は辻直人でした(笑)」と会場を和ませた。 大学4年時に特別指定選手として群馬に加入した細川は、2019-20シーズン以来の復帰。特別指定選手だった当時はホームゲームを経験できなかったと明かした26歳は、プレーシーズンマッチ後に「ユニフォームを着てホームに立つことができたことはすごくうれしいですし、期待してもらえるように結果で恩返ししていきたい」と意欲を示した。 信州ブレイブウォリアーズから移籍したアキノは、205センチながら3ポイントも得意とするビッグマン。昨シーズンはケガの影響もあって33試合の出場に留まり、チームのB2降格を経験した。リベンジのシーズンにもなる開幕へ向けては、「昨シーズンはチームをあまりサポートできなかったので、常に健康な状態でプレーできるような体づくりを意識していきたい」とコメントした。 入場の際に最も大きな歓声を浴びたのは、ドイツ代表のティーマンだ。2023年のFIBAワールドカップで優勝を成し遂げ、パリオリンピックにも出場したパワーフォワードは約1カ月間練習したという日本語で冒頭のあいさつを述べ、はやくもファンの心をつかんだ。吉田GMはティーマンの強みをこう説明した。 「彼は堅実なディフェンスとリバウンドが強みであり、チームディフェンスとリバウンドの向上に欠かせない選手です。オフェンス面でもとても賢く、個人プレーではなくチームでスコアすることに貢献してくれると考えています。6シーズン在籍したユーロリーグのアルバ・ベルリンではキャプテンを務めていましたので、チームの『戦う姿勢』の向上にも貢献してくれると期待しています」 群馬は「チャンピオンになるための最高の補強」(吉田GM)を成功させた。広島ドラゴンフライズを初優勝へ導いた新指揮官のもと、既存の選手と新戦力の融合を図り、2024-25シーズンのBリーグで旋風を巻き起こす。 文・写真=小沼克年
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