【重大証言】岡山での飲み水汚染の原因と指摘された企業、「推奨温度より低温で焼却」で大気汚染も拡散のおそれ
「有害な物質と知っていたら引き受けない」
満栄工業は汚染発覚後の昨年11月、吉備中央町による調査に対して、「(使用済み活性炭は)メーカーから預かったものなので、内容の確認もメーカーで行ったのち、引き受けている」と答えている。 つまり、仲介する活性炭メーカーが排出元の工場などにPFOA含有の有無を確認しており、汚染物質を引き受けたとの認識はない、というのだ。別の関係者も「そもそもPFOAという有害な物質については知らされていなかった。知っていたら引き受けないのではないか」と話す。 活性炭事業者による業界団体「日本無機薬品協会」の活性炭部会が作成した「活性炭の再生ガイドライン」は、 <再生用原料を引き取った活性炭メーカーが再生業務をするにあたって注意すべき重要なことは、安全かつ2次汚染の原因にしない事です> と強調している。 このため、活性炭を使用する企業に対して、有害な物質を含んでいないかを事前に調査する。ただし、受け入れ基準は活性炭メーカーによって異なる。 満栄工業と取引している活性炭メーカーはどう答えるのか。
では汚染された活性炭はどこから持ち込まれたのか
業界団体の活性炭部会で部会長を務める大阪ガスケミカルは、満栄工業とは古くから取引があり、活性炭の加工製造や再生を委託している。PFOAについては「2011年に(排出企業からの)受け入れ可否を判断するための基準を設定し、過去にPFOAを含有していると確認された実績はない」と答えた。 もう1社、活性炭大手のクラレによると、満栄工業への再生委託は2004年ごろにはじまり、2010年ごろから拡大した。ただし、再生を前提としているため、使用済炭を野積みにして放置しておくような「長期在庫は発生しません」という。 満栄工業の再生炉の燃焼温度については、大阪ガスケミカルが「把握していないため回答致しかねる」。クラレは「運転管理は満栄工業が行っている」とし、同社は環境省が2年前に示した技術的留意事項も考慮に入れ、安全なPFAS処理方法について研究開発を推進している、と答えた。 使用済炭は、2社を通じてさまざまな工場や浄水場などから満栄工業に持ち込まれてきた。野積みされたフレコンバックの多くからPFOAだけがきわめて高濃度で検出されたことから考えると、持ち込んだのは、PFOAを製造・使用していた工場の可能性が高い。 ある関係者は企業名を口にした。「ダイキンと聞いています」と。 空調メーカーとして知られるダイキン工業の淀川製作所(大阪府摂津市)では、1960年代後半からPFOAを製造・使用してきた。満栄工業との取り引きはあるのか。同社の回答は次のようなものだった。 「活性炭によるPFOA除去には2004年から取り組み、PFOAの使用をやめた2012年以降も続けているが、使用済み活性炭は専門の処理業者を通じてすべて焼却処理されていると認識している。2年前からはPFOAが分解される方法で焼却処理されていることを確認している」 専門の処理業者とはどこなのか、ダイキン工業は明かさなかったが、「分解される方法ですべて焼却処理」ならば、満栄工業による汚染とは関係ない、ということになる。 吉備中央町に汚染をもたらした使用済炭の排出元について、満栄工業は「取引先については守秘義務があるので、現時点での回答を控えさせてください」と答えた。