2023年の企業倒産、コロナ禍前を上回る水準に 11月の倒産は773件、19カ月連続で増加 ― 全国企業倒産集計2023年11月報
2023年の倒産は「8400件-8500件台」の見通し
2023年11月の企業倒産は773件発生した。前月(790件)をわずかに下回ったものの、前年同月(570件)より200件以上も多くなった。2022年5月から19カ月連続で前年同月を上回り、月次の倒産は増加基調が続いている。2023年はすでに10月時点で2022年の年間件数(6376件)を上回っており、11月までの累計件数は7691件と、前年から1300件以上も多くなった。2023年通期の件数は「8400-8500件台」での着地が予想され、コロナ禍直前の2019年(8354件)を上回る見通しである。 負債総額は881億5000万円にとどまり、3カ月ぶりに前年同月を下回った。前月のパチンコホール大手「ガイア」のような負債50億円以上の大型倒産が発生しなかったことで、負債総額が押し下げられた一方、10億-50億円未満の中規模倒産では増加が続いている。11月までの累計では2兆2753億9900万円となり、マレリHDの大型倒産があった昨年の水準に迫っている。 大規模な物価の値上げラッシュは落ち着くとみられるものの、節約志向による消費停滞や高止まりするエネルギーコストなどが企業経営に与える影響は依然として大きい。さらに、最大3年の支払い猶予を終えた公租公課の負担が、ポストコロナにおいて業績が回復できていない中小・零細事業者に重くのしかかり、倒産につながる不安要素は多い。
「2024年問題」が小規模事業者に追い打ち、ゼロゼロ融資の反動も顕在
「時間外労働の上限規制」が適用される2024年4月を前に、深刻な人手不足と労務費高騰が企業経営の重荷となっている。2023年の「人手不足倒産」は11月までに234件に達し、前月時点で2019年の年間件数(192件)を上回り、過去最多を更新している。このうち、『建設業』『サービス業』『運輸・通信業』の3業種で全体の4分の3を占めていた。これらの業種は、帝国データバンクが算出した従業員の過不足状況を示す「人手不足割合」でも上位となっており、「2024年問題」が間近に迫るなか、人材を確保できない小規模事業者に追い打ちをかけるケースが相次ぐ可能性がある。 ゼロゼロ融資の反動も出始めている。コロナ禍で「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」で手にした資金が底をつき、経営改善できないまま破綻した「ゼロゼロ融資後倒産」は、初めて倒産が確認された2020年7月から2023年11月までの累計で1145件判明した。また、「不良債権(焦げ付き)」に相当する融資の喪失総額は推計で約658億円にのぼった。 物価高と過剰債務で疲弊した中小企業のなかには、返済条件のリスケや借換保証などの金融機関の支援を受けながらも、当座の資金繰りに窮する企業も少なくない。倒産の瀬戸際に追い込まれつつあるこれらの企業で、事業継続を断念するケースが相次ぐことが懸念される。