高齢化と人手不足「8がけ社会」へ… ばあちゃんは「荷物」ではない 懸念される世代対立をほぐすには
高齢女性をあえて社員に
本気で世代間対立をなくそうと動き出している人にも出会いました。高齢化が進む福岡県の山間地域で、あえて高齢女性を社員として登用する会社「うきはの宝」を立ち上げた大熊充さんは、社会の高齢者への目線を変えたいと言います。 「なぜ、ばあちゃんたちを『荷物』だと思うんですか、僕たちにはないすごい力を持っているのに」 職場に行くと、70~80代の「ばあちゃん社員」が、ものすごいスピードで果物の皮を包丁を使ってむいていました。そんな作業をしながらスイーツやおかずの作り方、保存の仕方などの知識を次々と教えてくれました。 長く生きてきたからこその技術と知恵であり、小学生の頃、イラストで現役世代から背負われていた「高齢者」とはまったく異なる姿が、そこにはありました。実際に働くことでばあちゃんたちの健康状態が良くなっている傾向もあるそうです。 2040年に向けて、高齢者は増えて現役世代が減る「未来」は必ずやって来ます。これまでのようにはできないことが増え、1人ひとりの負担も重くなるでしょう。悲観的になるのは簡単ですが、それでは何も変わりません。 世代や立場をめぐって対立するのではなく、それぞれが尊重し合い、助け合えるところを探っていく。「今の社会、悪くないね」と思える16年後の未来に向けて、できることはまだあります。 ◇ 10月25日から31日まで開かれる国際シンポジウム「朝日地球会議2024」では、「『8がけ社会』を生きる」をテーマに、リクルートワークス研究所の古屋星斗さん、作家の九段理江さん、小説家の川村元気さんを招いたセッションを行います。25~26日は、東京ミッドタウン八重洲カンファレンスでリアル開催、27~31日はオンライン配信のみの開催です。メインテーマは、「対話でさぐる 共生の未来」です。 「『8がけ社会』を生きる」は、26日に登場します。未来を前向きに生きるヒントを、古屋さん、九段さん、川村さんとともに考えます。セッション後にはアフタートークがあり(当日、整理券を配布)、九段さん、川村さんの著書の販売とサイン会も予定しています。 参加費は無料。リアル開催は10月16日まで登録を受け付け中です。登録は特設サイト(https://t.asahi.com/awfwn1)から。