トヨタ社長「単独では生きていけない」 脱クルマ会社への未来戦略
[映像]5月8日の決算説明会の後に行われた豊田章男社長による事業説明スピーチ
「コネクティッドシティ」「バーチャルとリアル」そして「仲間づくり」――。トヨタ自動車の豊田章男社長は5月8日の決算説明会の場で、就任10年を振り返りながら、自身が掲げる「モビリティカンパニー」への移行へ向け、新しいキーワードを口にしました。抽象度の高いこれらの言葉は何を意図するのか。モータージャーナリストの池田直渡氏が3回連載で読み解きます。第1回は「仲間づくり」です。 【資料】テクノロジーが街の立地を変える? トヨタが打ち出す「コネクティッドシティ」とは
「コネクティッドシティ」を理解するキーワード
5月8日、トヨタは2018年度の決算発表を行った。ついに売上高30兆円超えに達した驚異的な決算結果はともかくとして、決算発表後に行われた豊田章男社長の事業説明で、ここ数年矢継ぎ早に新事業プランを発表し続けるトヨタから、またもや新事業構想「コネクティッドシティ計画」が発表された。翌9日にはさらに同計画の中核をなすであろう、トヨタとパナソニックによるコネクティッドシティを実現するための合弁会社設立の緊急記者会見が開かれたのである。 さて、このコネクティッドシティ計画の狙いをちゃんと理解しようと思うと、前提事項としてさまざまな知識が必要だ。トヨタが次々と繰り出して来たプランは実は積み木の様に何段にも積み重なっており、それらを総合的に見ないと、意味がつかめない。「IoT」、「MaaS(マース)」、街づくりなどの前提知識(詳細は後述)が必要なのだが、それらの一つひとつが原稿1本分レベルの歯ごたえがある。 しかもトヨタもパナソニックも、具体的な未来像に関してはまだ話せないということで、具体例の提示は一つもない。今回、筆者はこれまでのトヨタの取り組みからそれらの具体例を想像してひねり出すところから手をつけざるを得なかった。あらかじめ断っておくが、この説明の中に出てくる具体例は、全て筆者の想像である。トヨタもパナソニックも具体的には何も言っていない。
新たな価値持つ「街づくり」へパナと協業
さて、コネクティッドシティの実現に向けた、トヨタとパナソニックの合弁会社設立の目的は、トヨタ自動車が進めるモビリティサービスへの取り組みと、パナソニックが進める「くらし」のアップデートへの取り組みを融合させつつ、街全体での新たな価値の創出を目指していくことだと言う。 具体的手法としては、家電や住宅設備などの急速なIoT化(もののインターネット接続)や、モビリティにおけるCASE(Connected:コネクティッド、Autonomous:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化の頭文字からの造語)、車・公共交通などの移動手段をITでつなぎ、サービスとして提供するMaaS(Mobility as a Service:移動のサービス化)などの進展により、今後急速な変化が進むと考えられる街づくり事業の成長・発展を模索しつつ、人々のより良い暮らしの実現を目指す。